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2024.01.08
知財ニュース
マウス用の全視野VRゴーグル、米ノースウェスタン大学が発表─脳活動の観察が可能に
ノースウェスタン大学の研究チームは、マウス用の新しいVRゴーグルシステム「iMRSIV (Miniature Rodent Stereo Illumination VR)」を開発した。
現在のVRアプローチは、マウスの広い視野を完全にカバーしておらず、VR視野から現実の研究室環境が見えてしまう、スクリーンの平面的な性質により3次元 (3D) の奥行きを伝えることができないといった問題があった。さらに欠点として、迫り来る猛禽類など頭上の脅威をシミュレートするためのスクリーンを、マウスの頭上に簡単に取り付けることもできなかった。
今回開発されたマウス用のVRゴーグル「iMRSIV(イマーシブ)」は、片目あたり約180°の視野を提供するため、実験室で暮らすマウスにさらに没入型の体験を提供することが可能になる。人間用のVR ゴーグルとは異なり、「iMRSIV (イマーシブ)」システムはマウスの頭を包み込まない。代わりに、ゴーグルは基盤の実験装置に取り付けられ、マウスに装着するのではなく、マウスの視界がいっぱいになるギリギリの至近距離まで近づく。マウスの視野をカバーした状態で、トレッドミル(ルームランナー)の上でマウスを走らせ、iMRSIVシステムを実行するのだという。
マウスの脳をマッピングすることで、ゴーグルを装着したマウスの脳が、自由に動く動物と非常によく似た方法で活性化されていることを発見した。そして研究者らは、マウスのタスクへの取り組みを従来のVRシステムと並べて比較したところ、iMRSIVシステムのマウスは従来のVRシステムを備えたマウスよりもはるかに早くシーンに没頭できることに気づいた。
「iMRSIV (イマーシブ)」システムを使用したマウスは、現在のモニターベースのシステムよりも迅速に仮想行動に参加し、頭上に迫る刺激に対してすくみや逃走反応を示したとのことだ。
Top Image : © ノースウェスタン 大学