News
2025.12.17
知財ニュース
JAXA、新型宇宙ステーション補給機「HTV-X1」を1打ち上げ―ISSへりんご、トマトなど生鮮食品を輸送

JAXAは、2025年10月26日に打ち上げた新型宇宙ステーション補給機1号機「HTV-X1」が、同月30日に国際宇宙ステーション(ISS)に到着し、りんごやトマトなどの生鮮食品をISSの宇宙飛行士に届けたと発表した。
「HTV-X1」は、ISSへの物資輸送を担ってきた「こうのとり(HTV)」の後継機として開発された、次世代の補給機だ。従来の「こうのとり」の優位性を維持しながら、輸送能力や運用性を向上させ、さらに将来の様々なミッションに対応可能なシステムを備えている。ISSからの離脱後、約3か月間にわたる技術実証ミッションフェーズを実施する計画であり、その中で3つの技術実証ミッションを行う予定だ。
この「HTV-X1」は、2025年10月26日に種子島宇宙センターから打ち上げられ、10月30日にISSとの結合を完了している。生鮮食品は、2020年までISSへの物資補給を行ってきた「こうのとり」でも搭載されていた。今回の補給では、「こうのとり」に比べて、物資搭載(レイトアクセス)がより打上げ直前となるため、より新鮮な食品を搭載できることが期待されている。
搭載された生鮮食品は、りんご、トマト、和梨(王秋、新興)、温州みかんの4品目。りんごの搭載は「こうのとり」に続き2回目の搭載(産地は異なる)、温州みかんの搭載は5回目(産地は過去の搭載時とは異なる)になるとのこと。
生鮮食品搭載の目的は、宇宙飛行士が抱える長期宇宙滞在による様々なストレスを緩和し、パフォーマンスの向上に繋げることだとしている。また、「食」という身近なテーマを通じてISSと宇宙飛行士の活動を多くの人に身近な存在として認識してもらうとともに、国産生鮮食品の輸送をアピールすることで、ISSプログラムにおける日本のプレゼンスが向上することを期待している。
今回の生鮮食品搭載においては、将来の地球低軌道ビジネス等を見据えて、JAXAからの契約に基づき、生鮮食品取扱業者(公益財団法人流通経済研究所)が、保存性や安全性等の技術的要件を満たした品目・品種・調達先の中から調達可能時期や打上げ時期に合わせて選定して搭載された。選ばれた生鮮食品は、生鮮食品加工工場に集荷され、洗浄、除菌を行い、種子島宇宙センターに納品された。
Top Image : © 国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)


