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2023.11.30

知財ニュース

京セラ、5.7GHz帯で「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」を開発─スマホやドローンなど移動体にもワイヤレス送電

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京セラは、5.7GHz帯における「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」を実現する基礎技術の開発を10月11日、発表した。

同社によれば、本技術により、スマートフォンやドローンなどの移動体への安定した電力伝送のほか、ワイヤレス電力伝送が実現できれば、電池交換や充電の手間の削減や、配線の制限により設置できなかった箇所へのデバイスの設置が可能になる。また、アンテナから放射される電波を電気的に制御できるため、機械的な消耗や故障リスクも排除できるという。

本技術では、同社が通信基地局事業で培ってきた電波の制御技術を活用し、高速追従する電波制御と、高精度な電波制御の両立を実現。電波をコントロールし、電波を放射したい方向へ集中制御する「ビームフォーミング技術」と、伝搬環境に応じた電波制御の高速追従を可能にする「アダプティブアレー技術(指向性制御技術)」により、移動体への安定的な電力供給が可能となる。

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また、壁などの反射を効率的に利用し、放射したくない方向への電波放射を抑える「ヌルステアリング技術」により、電波の指向性のさらなる高精度制御を実現。加えて、電波放射を抑える範囲を制御する独自の「ヌル広角化技術」により、人体や他の無線システムに影響を及ぼさないよう電波放射の制御が可能になった。

本技術を活用した実験では、移動体デモ機のモーター駆動を確認。さらに、デモ機の移動に合わせた安定的な電力供給や、見通せない場所へも電波反射を利用した電力供給が確認できたという。

なお、同社は、電波エネルギーを高効率で電力に変換する技術も所有。「ビームフォーミング技術」をはじめとする独自の電波制御技術と、交流のマイクロ波から直流電流へ変換整流するレクテナ回路技術の組み合わせにより、電波が持つエネルギーを高効率に電力へ変換できる。

なお、「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」は、10月17日から20日まで開催された「CEATEC 2023」に出展されている。さまざまなメリットから、実現に大きな期待が寄せられている「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」。同社の今後に期待したい。

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「CEATEC 2023」京セラ 特設サイト

「CEATEC 2023で人間と技術について考える」(レポート記事)

Top Image : © 京セラ 株式会社

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