News
2021.03.11
知財ニュース
不便益から「未知なる益」を見出すための共同研究コミュニティが発足、4月の開講に向け第一期研究生も募集開始
テクノロジーの進歩が著しい現代社会において、私たちの生活はとても便利で快適なものになりました。「自動化」や「高機能化」「効率化」を追求した商品・サービス開発が求められる一方で、単純に利便性を求めるのではなく、不便であるからこそ得られる効用に着目する「不便益」の考え方が注目を浴びています。
日本工業デザイナー協会が主催する学生デザインコンペの2017年度のテーマに「不便益なデザイン」が選ばれたり、AIに関するトピックスを幅広く解説した書籍『AI事典』に「不便益」に関する項目が掲載されるなど、これからの社会を考える上で「不便益」は重要なキーワードとなっています。
そんな中、株式会社スマイルズの研究機関であるスマイルズ生活価値拡充研究所は、「不便益」に着目した共同研究コミュニティを発足しました。本コミュニティでは、スマイルズと電通が、不便益研究の第一人者である京都大学大学院情報学研究科の川上浩司特定教授や東京大学生産技術研究所の平岡特任教授とタッグを組み、未だ認識されていないような「Undiscovered Benefit=未知なる益」を解明していくそうです。
これまでの合理的価値ではなく、心理学的側面や相対比較的価値といった再定義された価値に光をあて、便利さの追求だけでは成し得なかった企業の商品・サービス開発とブランド体験を創出していくとのこと。関係者が広く参加できる「社会実装コミュニティ」を目指しており、公式HPでは2021年4月新規開講の第一期研究生を募集しています。
研究生募集、締め切りは2021年3月21日24:00
スマイルズ生活価値拡充研究所は、「Undiscovered Benefit(不便益を含む未知なる益)」の研究生募集を開始します。本研究は、自動化やDXの流れの中で、見落とされがちな価値に光をあて、いまだ認識/知覚/享受されていないような、「不便益を含む未知なる益」を解明するための研究です。共同研究のスタートのタイミングで、第1期生としてご参加いただける方を広く募集いたします。—— 本研究会では、不便益研究の第一人者・川上浩司特定教授(京都大学)、平岡敏洋特任教授(東京大学)、スマイルズCCO野崎亙を主な講師として2021年4月より9月までの半年間、毎月1~2回の研究会を行います。「不便益概論」に始まり、未知なる益の収集・分析・構造化・実装化を経て、未知なる益の輪郭を見出します。個人ワークをベースにしつつも、研究会では他の研究生とグループワークを進行します。(スマイルズ生活価値拡充研究所の公式HPより)
第一期研究生の募集締め切りは2021年3月21日24:00とのことです。
2019年には、博報堂が京都大学との共同研究をもとに「不便益」を活用した顧客体験設計の発想支援フレームを開発するなど、企業のプロモーションやマーケティング活動へ「不便益」の考え方を応用している事例が増えています。オールデジタル化が急速に進む社会では、不便であるがゆえの情緒が重要視されていくのかもしれません。制限がある中で価値を創出することが、これからの社会の豊かさの一つの指標となりそうです。