No.1024
2025.03.31
高濃度アルコールも包み込む、海藻由来の食べられる膜
テキーラボール

概要
「テキーラボール」とは、アルコール度数の高い飲料や酸性の液体も包み込む、海藻由来の食べられる膜。醤油など液状食品のカプセル化技術を応用したもので、テキーラ・ウイスキー・日本酒などのアルコールや、オレンジジュースといった低pH液体を含む多様な液体を、海藻から作成した膜で包むことができる。本来、ベースとなる海藻の食物繊維は脆いため、従来技術では高アルコールのカプセル化は難しかったが、企業と研究機関が連携し、包む大きさも調整できる独自技術を開発した。口の中で噛んだ際、プチッとした食感も楽しめる。プラスチック容器の代替品としての活用や、飲食領域での新たな価値の提供、医療分野への展開などが期待されている。
なぜできるのか?
液状食品をカプセル化する技術の応用
鳥取県産業技術センターが開発した、醤油などの液状食品をカプセル化する技術をベースにしている。人工いくらの製法から着想し、昆布などの海藻に含まれる食物繊維「アルギン酸ナトリウム」を用いた膜でカプセル化する技術を開発。他の食物繊維(キトサン)などを組み合わせた独自の製造プロセスで、作った膜を補強・調整できる。これまで難しかった酸性の液体にも対応し、液体が漏れ出ない、プチッと感の強いカプセルを実現。醤油のほか、酢やレモン果汁、コーヒー、白だし、練乳などの水性液状食品で利用できる。
「テキーラボール」は同技術をもとに、海藻テック事業を手がける米ベンチャー企業と共同開発。アルコールを含む液体や低pHの液体を、様々な形や大きさに包み込むカプセル化技術を新たに構築した。
地方創生×グローバルをコンセプトとした共同開発
米ベンチャー企業のAqua Theon(アクアセオン)と鳥取県産業技術センターが連携して開発した。Aqua Theonは、400年以上続く日本の海藻加工技術に着目し、地方創生×グローバル事業として、高い技術力を持つ地方企業・自治体と共同で海藻を使ったプロダクトを開発している。鳥取県産業技術センターの液体状の食品のカプセル化技術と、Aqua Theonが持つ海藻製品のテクスチャー調整などの技術や海外市場を見据えた製品化ノウハウを組み合わせ、「テキーラボール」を開発した。
開発技術の国内での特許出願は、鳥取県産業技術センターが行い、海外では譲渡契約をもとにAqua Theonが出願を担当。海外ビジネスの売上に応じてセンターが対価を得られる仕組みとし、外貨の獲得もサポートしている。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
・特開2022-114451
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © Aqua Theon Inc.