No.1025
2025.03.31
IoTを活用した海難救助ネットワークシステム
よびもり(yobimori)

概要
「よびもり(yobimori)」とは、海難事故発生時にSOS発信端末とアプリで別のユーザーに救助要請ができるサービス。海上で事故が発生した際、よびもり端末のボタンを押すと、アプリに事故発生の通知が送信され、経過時間や位置情報が近くにいる漁師に共有される。これにより、周囲の漁師や家族、近くにいる別のユーザーがアプリを通じて信号を受信し、捜索開始までにかかる時間を短縮。すぐに救助に駆け付けられる。漁業関係者だけでなく観光船や建設会社、海レジャーを楽しむ人など、海に出るあらゆる人のセーフティーネットとなるサービスとして、観光船協議会など観光業界にも波及が進んでいる。
なにがすごいのか?
ボタン一つで近くにいるユーザーや組合漁師にSOSを発信可能
リアルタイムで要救助者の現在地を軌跡と共に表示
助け合いにより迅速な救助を実現
なぜ生まれたのか?
「よびもり」の開発背景には、株式会社よびもり創業者である千葉佳祐氏の個人的な経験がある。千葉氏は、漁業が盛んな北海道紋別市で育ち、親族や近隣住民、学生時代の先輩・後輩など、近しい人々が漁師として働いており、海難事故も身近な存在であった。
特に、漁業を営んでいた千葉氏の祖父が船の転覆事故で他界した経験から、海難死亡事故を減らしたいという強い思いが芽生えた。このような背景から、海難事故の一次救助を可能にするネットワークシステムの必要性を痛感し、「よびもり」の開発に至った。
なぜできるのか?
近隣の船による一次救助を可能にしたネットワークシステム
「よびもり」の仕組みは首から下げられる小さなSOS発信端末(よびもり端末)とスマートフォン用のアプリのみ。海に出て海難事故に巻き込まれた場合、よびもり端末のボタンを押せば、周囲の漁師や家族がアプリを通じて事故発生の通知を受信し、迅速に一次救助に向かうことが可能となる。
セルラー通信を活用した、要救助者の現在地のリアルタイム表示
SOS発信端末は、セルラー通信を使って一定時間ごとに位置情報を取得している。海難事故では要救助者が海流で流されてしまうが、よびもりは事故に遭った個人の居場所をGPSを通じて特定。SOSが発信された瞬間から、要救助者の現在地をリアルタイムで軌跡と共に、捜索者にわかりやすく表示する。
誰でも簡単なSOS発信
SOSを発信するための「よびもり端末」は、緊急時でも焦らないようにボタンひとつのシンプルな形状。首から下げられる小型デバイスで、端末を水面から出してボタンを5秒長押しする事でSOSが発信できる。また、1回の充電で数日稼働でき、また充電残量の低下や利用状況等も家族に通知できる。
周囲の船同士で一次救助が可能なネットワーク構築
アプリへの通知は複数名に行うことができ、上限数に制限はないため、漁業組合などの組織単位で導入することも可能。
既存のIoTプラットフォームサービスの活用で実現させる製品開発
システムは、SORACOMのような既存のIoTプラットフォームを活用し、エンジニア経験やIoT開発経験がなくても製品開発が可能な設計。既存製品を組み合わせて、サーバーや回線をつなぐためのコードを書く必要なく端末やシステムの一部機能を実現させ『よびもり』を完成させている。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 株式会社 よびもり