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2021.08.10
知財ニュース
Facebookが人の思考をリアルタイムで出力する技術を開発―開発したソフトウェアをオープンソース化、今後はリストバンド型デバイスの開発へ
Facebookが、脳卒中による言語障害を持つ人の思考をコンピューターにリアルタイムで出力する技術を開発したと発表した。
Facebookの研究組織であるFacebook Reality Labsは、「ユーザーの脳から直接1分間で100ワードのタイピングを行えるようなシステムを作る」ことを目標に、2017年よりカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者チームとの共同で、人が考えるのと同時に思考をコンピューターに出力する「脳コンピュータインタフェース(BCI)」の研究を行ってきた。2019年には、BCIの技術を手掛けるスタートアップのCTRLラボを買収。今年3月には、筋電位センサを使って脳からの運動信号を変換し、考えるだけで操作できるリストバンドを開発した。
当初は脳に埋め込む必要がない非侵襲的なシステムを開発する予定だったが、今回の研究では脳インプラントを使用している。実験結果によると、脳インプラントから送られた信号は、最大93%の精度で1分あたり最大18ワード出力することができるそうだ。
このシステムでは、BCIを使用して、ユーザーが話そうと試みたときにほぼリアルタイムでその考えを単語に翻訳することが可能になる。これによって、BCIが脳卒中などによる言語障害の症状を持つ人の治療を支援する可能性が期待できる。
今回発表された研究結果はFacebookが4年にわたって進めてきたプロジェクトの最終段階とされているが、FacebookはBCI研究から撤退することを発表。一般向けのインターフェースとして脳の動きで操作するデバイスの実現には予定よりも長い時間がかかることから、今後は腕の筋肉の電気信号を読み取るリストバンド型デバイスの開発に注力する予定とのこと。脳の解読用に開発したソフトウェアはオープンソース化し、プロトタイプは他の研究者が利用できるようにするそうだ。
Top Image :©Facebook
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