News
2024.12.16
知財ニュース
言葉やオノマトペから“触り心地”を再現するAI「FANTOUCHIE」公開―架空の触感も再現
Dentsu Lab Tokyoは、入力された言葉から触り心地を生成するAIシステム「FANTOUCHIE」を開発した。このシステムは、触感を生成する独自のデバイスと、オノマトペと紐づいたデータセット・モデルを構築し、物理的な触覚体験を言葉から生み出す。2024年12月3日から6日に東京国際フォーラムで開催される「SIGGRAPH Asia 2024」で発表される。
FANTOUCHIEの技術は、触り心地の音と42種類のオノマトペ(擬音語・擬態語)を結びつけるデータセットを基盤としている。ピエゾセンサを搭載した独自の爪型デバイスを開発し、岩、砂、布、樹脂、革、ゴム、紙などのさまざまな素材の音を収集。収集した触り心地の音とオノマトペを紐づけることで、感性を数値化したモデルを構築した。
このモデルは、「洗濯したてのタオル」や「ユニコーンの角」など架空の質感を含むテキストからも触り心地の音を生成可能で、さらに振動スピーカーを用いてフィードバックを行うことで、ユーザーが様々な触り心地を体験できるようにしている。
FANTOUCHIEの応用範囲は広く、読書やゲーム、音楽体験などに含まれる言葉をもとに触り心地の音を生成し、「文章が触覚としても伝わる」新しい読書体験を提供することができるという。
例えば、文章の内容に基づいて触感を生成し、感覚を拡張した読書体験やゲーム体験を実現する、楽曲の世界観を触覚で体感する没入型音楽体験の創出する、などが挙げられる。また、製品開発やアクセシビリティの分野での活用も視野に入れている。障がいの有無を問わず楽しめる製品や、触覚情報を活用した新しいサービスの開発が期待されている。
視覚や聴覚に続き、触覚という身体感覚を生成AI技術やデジタル体験に組み込むことで、デジタルとフィジカルをつなぐ新たな可能性を探求していくとしている。
Top Image : ©︎ Dentsu Lab Tokyo