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2023.06.27

知財ニュース

カリフォルニア工科大学、「宇宙太陽光発電」電力の無線伝送に世界初成功─地上の8倍の電力

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カリフォルニア工科大学は、「宇宙太陽光発電」の可能性を探求する「Space Solar Power Project(SSPP)」の一環として、人工衛星に搭載した太陽光発電パネルで発電した電力を、地上に無線で伝送する実験に成功したことを発表した。

宇宙太陽光発電は、地球の周囲を回る人工衛星に搭載した太陽光発電パネルで電力を作り、そのエネルギーをマイクロ波で地上へ無線伝送する技術。天候や季節に左右されず安定した発電ができ、地上での太陽光発電の8倍もの電力を得られる可能性があるという。

同プロジェクトでは、2023年1月に初の実験衛星「Space Solar Power Demonstrator 1(SSPD-1)」を打ち上げ、最適なソーラーパネルの選択の支援や、モジュール式のソーラーハーベスティング衛星群の構築の可能性の実証を目指している。

なお、SSPD-1には、柔軟で軽量なマイクロ波パワートランスミッターアレイMAPLE(Microwave Array for Power-transfer Low-orbit Experiment)を搭載。MAPLEは、電力をマイクロ波に変換して伝送する送信アレイと、電力を直流に変換してLEDを点灯させる受信アレイからなり、個々の送信機間の干渉を利用して可動部品なしにビームの焦点や方向を変えられるという。

今回の実験では、MAPLEの2つの受信アレイのLEDを個別に点灯させられることを確認。また、MAPLEから地上にマイクロ波信号を送信する実験も行われ、カリフォルニア工科大学のパサデナキャンパスで信号の受信に成功したとのこと。

同様の研究は、中国の宇宙開発当局やNorthrop Grumman、欧州宇宙機関(ESA)も推進中。また、日本のJAXAも2025年以降の試験衛星の打ち上げと、宇宙空間から地上への送電実験を計画している。

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Top Image : © カリフォルニア工科 大学

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