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2021.08.10

コラム | 特許文献を愛でる

架空の「宇宙戦艦空母」秋葉 誠一

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米宇宙旅行企業ヴァージン・ギャラクティックは11日、同社が開発した新型宇宙船「スペースシップ2」による有人宇宙飛行に成功したと発表した。宇宙船には同社を設立した英実業家リチャード・ブランソン氏が初めて搭乗し、高度約85キロ・メートルまで達した後、地球に帰還したとのこと。

米国を中心に進む宇宙旅行ビジネスのさらなる本格化が期待されている中、実は日本の特許庁には、架空の「宇宙戦艦空母(再表01/020164)」の登録があることをご存知だろうか。

JPA1001020164 i 000003

名称未設定のデザイン (49)

提出されている特許文献を見てみると、その仕組みは以下のような説明がなされている。

【要約】
限られたものではあるが、有人飛行等による、惑星間移動をも可能とし、地球上に於いて、空間をある程度変幻自在に移動する事を可能とし、長期に亙って、上空での浮遊を可能とする、即ち、未確認飛行物体(UFO)に関する技術等は、現代の物理学(力学体系)に於いて、解明するには、課題が山積していた。構成としては、単極直流機の特性を活用したとも言える、フレミングの左手の法則とフレミングの右手の法則による相対的増幅を基に、反復増幅等をも含め、永久機関としての構成を完成し、必要可能な直流電流、交流電流等の活用を可能とし、制御装置の伴った、自転加速機能を兼ね揃えた、地球上に於いて、右回転等による、斥力発生装置等の活用、即ち、反発力としての浮力の活用と、隣接した斥力発生装置等の活用による推進装置(強烈なねじれた場の破れを活用する)、及び、電力の活用による、電磁推進装置(アーク放電加熱方式等によるジェット推進装置等、及び、無稼働式電磁推進装置等を含め)等を構成の柱として、総合的に構成、課題を解決し、利用可能として成る、宇宙戦艦空母、に関する発明である。

フレミングの左手の法則とは、磁界中に導体を置き、「導体に電流を流したときの電磁力」についての法則、右手の法則は、磁界中に導体を置き「導体を動かしたときの起電力」についての法則である。これらの相対的増幅と反復増幅を用いれば永久機関と推進装置を携えた宇宙船空母ができる、という発明らしい。


【請求項1】
フレミングの左手の法則とフレミングの右手の法則による相対的増幅を可能とした直流エネルギー増幅装置等を活用し、永久機関を完成させると伴に、容量等を変える事により、適宜、反復増幅し、必要可能な直流電流、交流電流等を創製し、又、自転機能と加速機能を兼ね揃えた、右回転(左回転)、若しくは、両用の斥力発生装置等を構成し、回転軸によるものと円環状の斥力発生装置を個別的、若しくは、併用する事で、制御装置と伴に、右回転による反発力としての浮力を活用し、隣接した斥力発生装置等(三位一体等、その他)の活用による推進力、及び、電力の活用による推進装置として、直流エネルギー増幅装置内蔵電磁推進ジェットエンジン、直交両用電磁ターボジェットエンジン、直交両用電磁ターボファンジェットエンジン、若しくは、直流エネルギー増幅装置内蔵電磁推進ロケットエンジン、直交両用電磁推進ロケットエンジン、直交両用多段式電磁推進ロケットエンジン、及び、それらの機構であるジェットエンジン等は、切り換え、ロケット機能を設け、ロケットエンジン等は、切り換え、ジェットエンジンとしての機能を備え、若しくは、電気モーター駆動方式アーク放電加熱電磁推進ジェットエンジン等の活用を含め、その他、全包囲性磁界活用による特殊直流発電機等、又は、円筒型等活用、及び、アンペールの右手の法則等活用による界磁コイル、及び、変圧器等の応用によるカットコアなどによる磁界の活用などによる無稼働式電磁推進装置等、更に、無稼働式電磁推進装置内蔵大型電動ファン推進装置等を含めた、個別的推進装置等、及び、斥力発生装置等活用による横置型等の合成推進装置等を配電盤等による集中制御装置等と伴に用いる、即ち、直流エネルギー増幅装置等と、斥力発生装置と、その応用による推進装置、及び、電磁推進式装置等(アーク放電加熱方式、及び、無稼働式電磁推進装置等)三身一体を構成の柱とするが、上記装置等の個別的活用、及び、部分的組合せによる製品の構成と活用等を可能として成る、総体的構成等に基づく、宇宙戦艦空母。

以上は請求項のほんの一部であり、文献全体を通してあらゆる装置名を引き合いに出しながら語られるその膨大な文面からは、発案者である秋葉氏のこの宇宙戦艦空母への並々ならぬ情熱が感じられる。

惑星間移動を可能とし、地球上において、空間を変幻自在に移動する事を可能とするこの構想。実現はしていないものの、図面は80項目にも及び、プラモデルの組み立て説明書を彷彿とさせるほど部品の詳細が記載されている。

JPA1001020164 i 000062

JPA1001020164 i 000055

JPA1001020164 i 000083

こちらは残念なことに審査請求自体がされていないため特許庁では審査されないまま取下げ擬制となっており、仮に審査請求をしたとしても「構成が不明確」、「永久機関が含まれるため自然法則に反し、発明に該当しない」等の理由で拒絶になる可能性が高い。

しかし、もし宇宙戦艦空母が実現すれば誰でも惑星を跨いだ宇宙旅行が可能となる。

有人宇宙飛行技術が今後どのような進化を遂げていくのか、楽しみにしつつ注視していきたい。

本特許についての詳細はこちら(再表01/020164)

Top Image : ©J-Plat-Pat

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