Pickup
2021.11.02
コラム | 知財図鑑コラム
【ドバイ万博】─知財ハンターが注目する「日本館」パビリオン出展のテクノロジー5選
アラブ首長国連邦(UAE)ドバイで2021年10月1日〜2022年3月31日に渡り開催中のドバイ国際博覧会(以下、ドバイ万博)。今年は「Connecting Minds, Creating the Future (心をつなぎ、未来を創る)」をテーマに開催され、192カ国が参加を表明し、約2,500万人の入場が見込まれています。
その中から、知財ハンターが注目しているのは「日本館」をはじめとした、日本発のコンテンツ。今年の「日本館」のテーマ“Where ideas meet(アイディアの出会い)”に則して、日本から世界へ発信するさまざまな技術や空間演出、そして感染症予防対策として日本が誇るテクノロジーを紹介します。
ドバイ万博 日本館パビリオン 建築設計
▼永山祐子建築設計
ドバイ万博日本館は、永山祐子氏が建築設計に参画。中東のアラベスクと日本の麻の葉文様を組み合わせたファサードデザインは、日本と中東の歴史のつながりと文化の交差を表現しており、他者への敬意を示す日本の折り紙のようなデザインが来場者をお迎えします。
パビリオン前面には水盤を設け、立体的格子を写し込む水鏡としての役割を果たすと共に、水の気化熱を利用し環境装置としたサステイナブルな建築が設計されました。
ドバイ万博 日本館パビリオン アテンダント着用ユニフォーム
▼アンリアレイジ 森永邦彦氏
ユニフォームは「人と人、心と心、文化と文化」のつながりを表現。ジャケット、スニーカー、バッグには中東のアラベスク柄と日本の和柄が共存する模様がデザインされ、三角、四角、丸から描かれています。万博のテーマである「つながり」のニュアンスを象徴する、中東と日本の文様が共存した模様がデザインされています。
また、ブレザー、アシックス社製スニーカー、ポーター社製バッグなどに使われている再帰性反射素材は、一見、白に見えながらも光を当てると多様な色合いに変化することで、「変化」と「多様性」を表現しています。
文化的な多様性を表現しているだけでなく、このユニフォームは、性別や体型を問わず着用可能で、日本の繊維会社である東レが製造した環境に優しい素材から作られています。
ドバイ万博 日本館 音響演出
▼ソニーマーケティング 株式会社
ソニーは、現実世界に仮想の「音」が混ざり合う、新感覚の音響体験Sound AR™を活用し、日本館の音響を担当しています。またXperia™スマートフォンの屋内位置姿勢推定技術を使って、来館者の位置や巡ったコースによって毎回異なる音が展開される音響コンテンツを提供しています。
屋内位置姿勢推定技術と組み合わせたインタラクション技術によって、来館者の詳細な位置や姿勢、巡ったコースに応じたそれぞれ異なる音のストーリーを展開。立体的な音響空間がリアルタイムに生成されます。
会場でのイヤホンには、周囲の音を遮断せずにイヤホンの音も楽しめる同社のオープンイヤー型イヤホンを採用。会場内のスピーカーによるBGMと、イヤホンによる効果音やナレーションをミックスさせた、新しい音体験を演出します。これにより音の力で世界を拡張する聴覚でのARを体験できます。
ドバイ万博 日本館 超微細ミストを用いた空間演出
▼パナソニック 株式会社
パナソニック株式会社くらし事業本部 事業開発センター(以下、パナソニック)は、ドバイ国際博覧会の日本館に、パナソニック独自の極微細ミスト(シルキーファインミスト)噴霧機を納入し、ミストを活用した幻想的で立体感のある日本館の空間演出に貢献しています。
演出上の特徴として、映像とミストが高度に溶け合う空間に仕上げることで、バーチャルとリアルの境目が感じられない高い没入体験が可能になる点などが評価され、今回の納入に至りました。
日本館の展示各シーンでは、極微細ミスト、工夫を凝らした立体スクリーン、コネクティッドソリューションズ社(CNS社)のプロジェクターによる色彩鮮やかな映像美を組合せることで、これまでにない没入体感を実現する空間演出となっています(パナソニックのミスト演出導入事例としては、過去最大の規模)。
ドバイ万博 日本館 感染症対策手洗いスタンド
▼WOTA 株式会社
日本発の水道を必要としない手洗いスタンド「WOSH」が日本館に設置され、館内の感染症対策として手洗い機会を提供しています。
水道がないところでも設置可能な水循環型手洗いスタンド「WOSH」を日本から輸送し、開催期間中の日本館への来場者入口とVIP用入口、ドバイ万博日本館レストランの3ヶ所に設置。来場の人々に、流水による手洗いとスマートフォン除菌ができる機能を備えた「WOSH」を提供し感染症対策に寄与しています。
「WOSH」は、使用した水の98%以上をその場で循環させ、電源と20リットルの水さえあれば、あらゆる場所での流水による手洗いが可能。
3つのフィルターによる濾過・不活性化でウィルスや不純物を取り除き、その水質はWHOの飲料水ガイドライン等の基準を満たします。流水による手洗い機能に加え、スマートフォンの表面を99.9%以上除菌する機能も搭載しており、公衆衛生・空間衛生に貢献しています。
以上、知財ハンターが注目した「2020年ドバイ国際博覧会(ドバイ万博)」の「日本館」に集約するテクノロジーでした。ドバイ万博は2022年3月31日まで開催です。気になった方はぜひホームページやYoutube、各SNS等をご覧になり、日本のテクノロジーへの反応や、実際の様子をのぞいてみてはいかがでしょうか。
名称 2020年ドバイ国際博覧会
会期 2021年10月1日~2022年3月31日(182日間)
開催地 UAE(アラブ首長国連邦)ドバイ
テーマ 「Connecting Minds, Creating the Future」(心をつなぎ、未来を創る)
公式サイト https://www.expo2020dubai.com
ドバイ万博日本館公式ウェブサイト https://expo2020-dubai.go.jp/ja/
2020年ドバイ国際博覧会日本館PR映像はこちら
永山祐子建築設計 - 日本館
アンリアレイジ - 日本館アテンダント着用公式ユニフォーム
ソニーマーケティング 株式会社 プレスリリース
パナソニック 株式会社 プレスリリース
WOTA 株式会社 プレスリリース