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2022.04.27

地域団体商標とは?【だれでもわかるチザイ用語辞典】

11.地域団体商標

地域団体商標とは?

地域団体商標とは、「地域名+商品・サービス名」からなる文字商標です。「地域ブランド」を保護すべく、2006年4月1日に導入された制度です。第三者による便乗使用を防止することで、魅力あふれる名産品のブランドを保護し、地域経済の活性化を図る狙いがあります。そしてかかる商標権は、ライセンス契約により第三者に対して使用を許諾することも可能です。

商標権を取得するには、特許庁に出願し、審査を受ける必要があります。商標権の有効期間は10年間で、何度でも更新ができます。

また、地域団体商標を取得した個人・団体は、特許庁に使用届を提出することで、名産品の地域団体商標が特許庁に登録されている証として「地域団体商標マーク」を発行できます。

image3 ※ちなみにこちらのマークは商標登録されています(権利者:特許庁長官/商標登録第6036291号)

地域団体商標の詳しい説明については、特許庁が発行する下記ガイドブックをご覧ください。
【参考】地域団体商標ガイドブック

地域団体商標が関わるケース

通常の商標登録制度では、「地域名+商品(サービス)名」の商標については、全国的に周知なブランドであるなど特別な事情がある場合に限って登録を認められています。

しかし、地域団体商標の場合は、下記の要件を全て満たしていれば登録可能です。

・地域に根ざした団体の出願であること

・団体の構成員に使用させる商標であること

・地域の名称と商品(サービス)に関連性があること

・一定の地理的範囲である程度有名であること

(地域団体商標ガイドブックより引用)

この中でもとりわけ重要視されているのが、4番目の「一定の地理的範囲である程度有名であること」です。出願する商標は、販売数量や新聞の報道などの客観的事実により、消費者にある程度知られている必要があります。

地域団体商標の具体例

※地域団体商標の詳しい内容は、商標登録番号からリンク先をご確認ください。

横手やきそば(秋田県・商標登録第5546212号

image6 「商標登録第5546212号 横手やきそば(よこてやきそば)」特許庁HP より

秋田県横手市の名物「横手焼きそば」。太くて真っ直ぐなゆで麺と半熟の目玉焼きが特徴です。2009年にはご当地グルメのコンテスト「B-1グランプリ」で優勝するなど、全国的にも高い知名度を誇ります。

灘の酒(兵庫県・商標登録第5030720号

image5 「商標登録第5030720号 灘の酒(なだのさけ)」特許庁HP より

こちらは、日本の三大酒処の一つに数えられ、「灘の生一本」などで名高い酒造地・灘の地域団体商標です。権利は、兵庫県の灘地域の5つの酒造地(灘五郷)からなる灘五郷協同組合が取得しています。

京友禅(京都府・商標登録第5023045号

image4 「商標登録第5023045号 京友禅(きょうゆうぜん)」特許庁HP より

こちらは、「加賀友禅」や「東京友禅」と並び日本三大友禅に数えられる染色技法・京友禅。豊かな色彩と、動物や器物の模様が印象的です。

道後温泉(愛媛県・商標登録第5071495号

image3 「商標登録第5071495号 道後温泉(どうごおんせん)」特許庁HP より

3000年の歴史を誇り、日本最古の名湯として知られる道後温泉。近年では美しい日本の歴史的風土100選や、ミシュランの三つ星にも選ばれています。地域団体商標は文字商標による登録なので、こういった観光スポットの名称も登録できるんですね。

横濵中華街(愛媛県・商標登録第5069264号

image1 「商標登録第5069264号 横濵中華街(よこはまちゅうかがい)」特許庁HP より

言わずと知れた横浜中華街。観光で訪れた方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。町の名称が商標として登録されているのは面白いですね。

地域団体商標にまつわるニュース

三重県の「津ぎょうざ」が地域団体商標に登録
https://www.asahi.com/articles/ASQ30729DQ3QONFB00P.html

「輪島朝市」出願合戦に NPO、地域団体商標目指す
https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/554896

特許庁が開催する「全国地域ブランド総選挙」
https://onl.bz/H1JRkKZ

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