意匠権とは？

知的財産権のひとつで、商品のパッケージや自動車と言った工業製品のデザインに対して、創作者に一定期間（最長25年）独占的な権利を与える制度です。

権利の取得には特許庁の審査を通過する必要があり、デザインの創作を奨励して生産活動を活発にし、産業の発達を図る狙いがあります。

意匠権の種類には、物品の形状等に関する意匠、画像の意匠、建築物の意匠、内装の意匠などがあります。

意匠権が関わるケース

意匠登録には、下記の要件を満たす必要があります。

• 「工業上利用できる意匠」であること
  意匠法上の意匠に該当するか、どのような用途で用いられるか、視覚に訴えるものか、同じものを工業的に量産可能か、などが審査されます。

• 今までにない新しい意匠であること（新規性）
  出願前にそれと同じ、あるいは似ている意匠が存在する場合、登録できません。

• 意匠が容易に創作できるものでないこと（創作非容易性）
  新しい意匠でも、当業者が簡単に創作できるものは該当しません。

意匠権の具体例

※意匠の詳しい内容は、意匠番号からリンク先をご確認ください。

物品の形状等に関する意匠

• チョコレート（ゴディバ ショコラティエ インコーポレイテッド／意匠登録第1484401号）

チョコレートメーカーの老舗・ゴディバの意匠。点線ではなく実線で示された部分が意匠権の対象になります。

• カドケシ（コクヨ 株式会社／意匠登録第1191186号）

消しにくい部分でもスマートに消せるカドケシ。実は意匠権の他に特許権も取得しています（複数の権利で製品を保護することを知財ミックスといいます）。

画像の意匠

• アイコン用画像（Google LLC／意匠登録第1701010号）

2020年、130年ぶりの意匠法大改正により、画像や建築物、内装も意匠として登録できるようになりました。これは、Googleマップでよく見る「あれ」の意匠です。

建築物の意匠

• UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店（株式会社 ファーストリテイリング／意匠登録第1671773号）

「建築物の意匠」の第1号は、横浜にあるこちらのユニクロの店舗。屋上面が公園になっている斬新な設計です。プロデュースをデザイナーの佐藤可士和氏が、基本構想とデザイン監修を建築家の藤本壮介氏が担当しました。

内装の意匠

• Medicha（メディーチャ）（三菱地所 株式会社／意匠登録第1684158号）

こちらは、三菱地所が手掛ける瞑想ルームの「内装の意匠」。職人の手編みによる竹ドームと音響設計で没入感を演出します。

化粧品店の内装（株式会社 ポーラ／意匠登録第1684868号）

こちらは、なんと化粧品を手掛けるポーラ（POLA）による「商品の並べ方」の意匠。統一感あるフォーメーションが、製品の美しさを際立たせます。

意匠権にまつわるニュース

蔦屋書店、改正意匠法で「内装の意匠」登録第1号を取得
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000057655.html

北の達人、類似商品の意匠権侵害でヤーマンを提訴
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000051691.html

Apple、Touch ID搭載のMagic Keyboardの意匠権を取得
https://iphone-mania.jp/news-436621/