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2022.05.27
レポート | 体験レポート
日本橋を舞台にリアルとデジタルが交錯する、クリエイター特区プロジェクト「UN/BUILT」を巡ってみた
日仏のデジタルアートが日本橋に集結する「クリエイター特区」
三井不動産の創立80周年を記念したアートイベント「クリエイター特区」プロジェクトが、5月27日から6月19日まで、東京 日本橋で開催されています。
クリエイターの想像力・創造力でリアル・デジタル空間が融合した場作りを推進し、日本橋の街に「リアル」「デジタル」「AR」にまたがって、アニメーションやコンセプトアート、イラストレーションなど、さまざまなジャンルのクリエイターたちのデジタルアートが集結しています。
クリエイター特区開催場所
日本橋の街に実装されるこのプロジェクトは、「リアル」「デジタル」、さらに双方を組み合わせた「デジタルオンリアル(ARを用いた拡張現実空間)」の3つのギャラリー形態で展開。
これらは、リアル/オンライン双方からアクセス可能となり、都市や空間における虚実の境界線を曖昧にする体験を提供するというこのイベント。リアル・バーチャル・ARそれぞれにまたがる本展の様子をレポートします。
開催エリアとなる日本橋にはポスターやサイネージが張り出され、リアルの展示ギャラリーとなるほか、掲載のQRコードからはAR展示やバーチャルギャラリー、展示されるデジタルアートのNFT販売サイトOpenSeaに入ることができる。
「クリエイター特区」は、三井不動産が80周年を機に開催する文化領域「未来特区プロジェクト」の一環として開催される企画です。世界に誇る日本のコンテンツを生み出すアニメーター・イラストレーターが集結し、未だ建てられていない実現以前の想像建築を広く指す「UN/BUILT」をテーマに新作作りに挑みました。
日仏13名のアーティストが参加し、”UN/BUILT”のコンセプトのもと、「リアル」「デジタル」さらに双方を組み合わせた「デジタルオンリアル(AR)」の3つの「場」にギャラリーを展開し、5月27日から約1ヶ月間、日本橋の街でアートの展開を行います。
① ”リアル”展示
日本橋に、日仏で活躍するアーティスト13名によるデジタルアートをディスプレイやプロジェクターを用いて展示する、“UN/BUILT”ギャラリーを開設。(場所:東京都中央区日本橋室町1-5-3 福島ビル1階)
② “デジタル”展示
オンライン空間上に空想の世界観を表現した“UN/BUILT”バーチャルギャラリーを開設。メインビジュアルの中に浮かぶ不思議な球体に足を踏み入れると“UN/BUILT”バーチャルギャラリーという異世界に入り込む体験を提供する。(場所:VRギャラリー専用サイト )
③ “デジタルオンリアル(AR)”展示
日本橋の仲通り・福徳の森を舞台に、ARの技術で次々に現実を拡張してきた川田十夢氏率いる「AR三兄弟」が制作するARアート作品を展示。AR展示「“UN/BUILT”AR日本橋」を開設。AR技術を掛け合わせ、日本橋の街を新たな展示空間へと変えていく。(場所:AR三兄弟による「社会実験」アプリと連動し、日本橋の街でAR展示)
① アーティストの妄想を描いたデジタルアートが集結する ”リアル”展示
集結するアートをリアルに見て取れる“リアル展示”は、日本橋三越本店向かいに位置する福島ビルにて、デジタルアートをディスプレイやプロジェクターを用いて展示する、“UN/BUILT”ギャラリーとして開設。
日本を代表する、世界に誇る日本のコンテンツを創り出した日仏のクリエイター(アニメーター・イラストレーター)が当企画に賛同し新作を出展し、NFT販売に挑みます。
リアル展示会場 “UN/BUILT”ギャラリー となる日本橋・福島ビル。
リアルギャラリー 会場内の様子。13名のアーティストが、妄想を描いたデジタルアートを展示している。
三井不動産80周年「未来特区プロジェクト」のコンセプトアートに用いられている上国料勇氏による作品。三井不動産の前身である越後屋さんの発祥の地でもある日本橋を望む風景の中にAR技術で作られたヴァーチャルミュージアムや、現代から江戸時代にかけて様々な年代の人々が行き交う情景をイメージしている。
日仏を代表するクリエイター/アニメーターのデジタルアート作品をデジタル展示。
日仏から総勢13人のアーティストが参加している今回のプロジェクト。フランスからは、現代アーティストのステファン・ブリューワー氏が参加。パリ、ルーブル美術館に初めてデジタル認証技術を実装したアート作品を制作したブリューワー氏は、今回の三井不動産80周年記念に際し、日本とのコラボレーションとして、京都という文化都市の禅寺に何百年も鎮座する文化資産の襖絵と、ルーブルに展示される作品との時代と距離を超えたコラボレーションを「リフレクション」という形で表現。NFTアートや360度の3D撮影技術など、様々なテクノロジーを駆使しつつも、そこにはパリと京都でそれぞれ手から手へと脈々と受け継がれてきた文化遺産が表現されています。
また、会場内のデジタルアート横のQRコードからは、会期終了後にこれらのデジタルアートがNFTとして販売されるNFTマーケットプレイスOpenSeaの専用ページに飛ぶことができ、限定のNFT作品が売り出される前にいち早く詳細をチェックすることができます。
QRコードからは、アーティストのデジタルアートが売られるNFTマーケットプレイスOpenSeaに飛んで作品のラフ画や完成形のデジタルアートの詳細をチェックできる。
今回の「クリエイター特区」プロジェクトのため、世界に誇る日本のコンテンツを生み出すアニメーター・イラストレーターが集結した、各参加アーティストのインタビューは専門サイトから聞くことができます。
【参加アーティスト】(順不同)
川田十夢/AR三兄弟(AR開発ユニット)、開田裕治 (イラストレーター)、加藤直之 (SFイラストレーター・画家)、上国料勇 (ゲームクリエイター)、玉川真吾(アニメーター・映像作家)、天神英貴 (イラストレーター)、富安健一郎 (コンセプトアーティスト)、ステファン・ブリューワー(現代アーティスト/パリ・フランス)、美樹本晴彦 (キャラクターデザイナー)、森本晃司 (アニメーション監督)、吉田健一 (キャラクターデザイナー・アニメーションディレクター)
② VRギャラリーやNFTマーケットプレイスと連動した“デジタル”展示
デジタル展示では、オンライン空間上に空想の世界観を表現した“UN/BUILT”バーチャルギャラリーを開設。メインビジュアル「UN/BUILT NIHONBASHI」の中に描かれた、浮かぶ不思議な球体に足を踏み入れると“UN/BUILT”バーチャルギャラリーという異世界に入り込む体験が提供されます。
これらの作品は「リアル展示」とも連動しており、バーチャルギャラリーで展示されるデジタルアートは、リアル展示にも展示される作品が並んでいることで、リアル/オンライン双方からアクセス可能となり、都市や空間における虚実の境界線を曖昧にする体験を提供しているとのこと。
未だ建てられていない実現以前の想像建築を広く指す“UN/BUILT”のコンセプトに基づき製作されたデジタルアートがバーチャルギャラリー上に並ぶ。
「デジタル展示」はARコードや専用サイトからアクセスできるほか、「リアル展示」会場のVR機器からもデジタルギャラリーに入ることができます。
これらのデジタルアート作品はリアル・バーチャル双方のギャラリーから見ることができ、「クリエイター特区」イベント終了後は、6月18日からNFTアートとしてOpenSeaにオークション形式で出展されます。完成画のほか、制作のラフ画も出展される貴重な試みです。
③ アプリ上で日本橋に浮かび上がるアートを鑑賞、“デジタルオンリアル(AR)”展示
「デジタルオンリアル」と謳われるAR展示では、AR三兄弟がアートの実装を務めます。650年の歴史を持ちながらも敷居が高い能楽を、AR化することで街で能楽を楽しめるように街を舞台化した“UN/BUILT”AR日本橋を開設し、NFTにすることで新たな経済価値を生み出すことに挑みます。場所は日本橋の<仲通り>、そして<福徳の森>が舞台です。
● 「能ミュージック、能ライフ」/AR三兄弟
コレド室町の間に位置する「仲通り」やポスターのキービジュアルには、AR出現スポットが複数潜んでいる。 専用アプリ「AR三兄弟の社会実験」で読み取ると、AR三兄弟によるアート作品「能ミュージック、能ライフ」が動き出す。
能楽師: 粟谷明生 協力
ARは、ポスターのキービジュアルやQRコードや仲通りを専用アプリ「社会実験」で読み取ることで出現します。
●「dpN dots per Nihonbashi」/AR三兄弟+飯島泰昭氏・本山貴大氏(採択アイデア)
AR展示の2つ目の展開は「福徳の森」へ。場所はコレド室町向かいの広場です。
福徳の森では、昨年末の一般募集により集まった約500案から採択された2つのアイデアが、AR三兄弟との共創により街に実装・展示されます。多種多様なアイデアにAR技術を掛け合わせ、日本橋の街を新たな展示空間へと変えるとのこと。
福徳の森の広場の地面の市松模様にARアプリをかざすとARが展開される仕掛け。AR作品「dpN dots per Nihonbashi」では、出現するクイズに答え、正解すると、ARで出現するボクセルアートを集めることができます。
「一つ一つのボクセルを行き交ってきた人や物と見立て、日本橋の在り方を象徴するオブジェクトとして再構成する」とのこと。
●「Nihonbashi Ad Parade」/AR三兄弟+臼倉拓真氏(採択アイデア)
もう一方のAR展示は、「Nihonbashi Ad Parade」という作品。「日本橋という街を多くの人から「あっぱれ! (=Ad Parade) 」と言ってもらえるように」制作されたとのこと。デジタルサイネージ、ソーシャルハブ、アートギャラリーから構成され、AR技術を駆使した新たなランドマークの広告塔です。
コレド室町の横の「福徳の森」でARをかざすと、コンペで選ばれた採択アイデアで、AR三兄弟の実装によるAR作品「Nihonbashi Ad Parade」が日本橋の街に浮かび上がる。
AR作品「Nihonbashi Ad Parade」は、インスタグラムのハッシュタグ投稿と連動しており、ARの下にはリアルタイムでハッシュタグ投稿画像が浮かび上がります。
展示されたデジタルアートはNFTとしてオークションで販売
これらの展示されたクリエイターたちの作品はNFT作品となって、世界最大規模のNFTマーケットプレイスである「OpenSea」上で世界に向けてデジタルアートを販売する場を開設。
リアル展示“UN/BUILT”ギャラリー・デジタル展示“UN/BUILT”デジタルギャラリーで展示された13人のクリエイターたちの作品が、6月18日から3週にわたってオークション形式で出品されます。中には貴重な「ラフスケッチ」がNFTとして展開される作品も。
▼オークション期間
2022年6月18日から3週間程度予定
▼アクセス方法
「未来特区プロジェクト」Webサイト ( miraitokku.com ) 、“UN/BUILT”ギャラリー内、“UN/BUILT”バーチャルギャラリー内から参加可能OpenSea専用ページ
https://opensea.io/UNBUILT_VIRTUALGALLERY
“UN/BUILT”バーチャルギャラリー
以上、日本橋の街にリアル・デジタル・ARが融合し、街に実装される「クリエイター特区」プロジェクト。三井不動産の創立80周年を機に推進されるプロジェクトで、クリエイターと共に次なる街の使い方を模索したという本プロジェクトは、5月27日から約1ヶ月、日本橋の街に実装されます。
三井不動産によると、クリエイターと対話をしながら、次なる可能性を探しているというこのイベント。リアル・デジタル・ARにまたがり、NFTでも展開される日仏を代表するアートの集結を、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
【全体概要】
2022年5月27日から約1カ月間、日本橋にて、”UN/BUILT”というコンセプトのもとリアル、デジタル、さらに双方を組み合わせたデジタルオンリアル(ARを用いた拡張現実空間)の3つの「場」にギャラリーを展開。一部の作品をNFT化して販売するプラットフォームを開設します。日本のアニメーション、コンセプトアート、イラストレーションなど様々なジャンルで活躍する様々なクリエイター、そして歴史と文化が融合し続けるパリを舞台に活躍するフランス人現代アーティストまで、「想像力」を駆使して創造活動を行うグローバルなクリエイティブ・クラスが “UN/BUILT”というコンセプトのもとにデジタルアートを出展します。
①【リアル展示】
日本橋においてアーティストの妄想を描いたデジタルアートを展示する“UN/BUILT”ギャラリーを日本橋に開設。《場所》東京都中央区日本橋室町1-5-3 福島ビル1階
《期間》2022年5月27日~6月19日(11時から18時まで開場、火曜日定休)
《概要》クリエイター10名のデジタルアート作品10点を展示予定。入場料無料
②【デジタル展示】空想の世界観を表現した“UN/BUILT”バーチャルギャラリーをオンライン空間上に開設。《期間》2022年5月27日~6月19日
《アクセス方法》“UN/BUILT”バーチャルギャラリー
③【デジタルオンリアル(AR)展示】
日本橋「福徳の森」「仲通り」の2か所に、川田十夢氏率いる開発ユニット、AR三兄弟が制作するARアート作品の展示と、公募アイデアを含むAR作品を展示し、“UN/BUILT”AR日本橋を開設。《場所》<仲通り> 室町東三井ビルディング、室町古河三井ビルディングの間の車道部
<福徳の森> 東京都中央区日本橋室町2-5-10
《期間》2022年5月27日~6月19日(11時から18時まで開場)
※開催場所で、別イベント等が開催される場合は、中断の可能性があります。
《概要》
「AR三兄弟の社会実験」アプリ(無料)をDLし、アプリ上でリアル空間上に浮かび上がるアートを鑑賞。
文:知財ハンター/福島 由香