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2021.04.21 Upload

レポート

『Sōseki』/「Todai To Texas」全6チームインタビュー

東京大学/Todai To Texas

soseki
引用元: https://www.ousia.jp/ja/

34年の歴史上、初の完全オンラインとなった世界最大のテクノロジーとカルチャーの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)Online 2021」。昨年の新型コロナウイルスによる中止を経て、今年は5日間に渡るオンライン開催によって画期的なXRコンテンツの数々を自宅から体験できるという異色の開催となりました。


東京大学発のスタートアップ・プロジェクト「Todai To Texas」からも個性の異なる6つのチームが出展。それぞれのチームにオンラインにてインタビューを行い、プロジェクトの概要と技術の先に思い描く未来について聞きました。全6回に分けてお届けします。

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今回ご紹介するのは「Sōseki」チーム。株式会社Studio Ousiaのセールスディレクター、谷口諭さんにお話を伺いました。

Profile
Studio Ousiaはディープラーニングを用いた賢い言葉のAIの開発を行っている。渡邉安弘(CEO)、山田 育矢 (Chief Scientist)、伊藤 友隆 (Chief Engineer)を中心に、複数の国際コンペティションで優勝した世界最先端のAIにより企業のビジネスを加速させ、グローバルで通用する技術の会社になることを目指す。

世界のコンペティションで優勝した高精度な自然言語処理AI「Sōseki」

自然言語処理の5つのベンチマークで世界最高精度を達成したAIモデル。入力された質問に対して蓄積された言語モデルと独自のディープラーニングにより、問い合わせの意図を高精度で読み取った返答が可能です。

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●このプロジェクトの開発の背景について教えてください
我々「Studio Ousia」はディープラーニングを用いて言語処理を行うAIの開発を行っています。2020年に開催されたAIの質問応答精度を競う国際コンペティションでは、部門別のスコアにおいてFacebook社に次いでランキング2位を獲得しました。そんな最新・最先端の自然言語処理技術を搭載したAIモデルが今回SXSW2021に出展した「Sōseki」です。今回はその技術の進化をより多くの方に体感していただくため、オンラインで誰でも体験できる2つのデモを用意しました。一つはWikipedia上に蓄積された膨大な情報をベースにして開発した「トリビア・マスター」というもので、打ち込まれたオールジャンルな一般教養の質問に対し高精度の返答を可能にしたAIです。もう一つはSXSW2021で開催されたセッション情報をデータベースに格納し、Sōsekiで検索できるようにした「セッション・ナビゲーター」です。ユーザーがTwitterアカウントの「@AiSoseki」に対して興味・関心をつぶやくと、Sōsekiが500を超えるSXSWのプログラムの中からおすすめのセッションを返信してくれるというものです。

●この技術の特徴や強みについて教えてください
従来の自然言語処理モデル(Googleが発表したBERTなど)は単語の関係性を理解し、未知のテキストに対してそれに近しいテキストを返答する仕組みとなっています。Sōsekiの場合、それらの言語モデルが獲得している言語知識に加え、ディープラーニングにより獲得した「意味的概念」を加えて分析・回答することができます。「単語と意味」や「意味と意味」の間のニュアンスや関係性を学習し従来の言語モデルにアドオンすることで、質問者の意図を理解した高精度な返答が可能になります。また、Sōsekiは事前学習済みのモデルなので教師データを準備する必要がありません。SDKとして提供することで、外部のあらゆるシステムと連携することができます。

●今後、どのような領域のパートナーと協業したいですか?
Sōsekiは既に小売りでのマニュアル検索支援、水道設備会社での技術文書検索、IT企業での社内文書検索のツールとして提供しています。有用性が検証できたことから、オープンベータに移行し、法人からのPoC受付も開始しています。今後のビジネスの展開としては、Slackなどのプラットフォームと連携し、ソフトウェア内の検索能力や利便性の向上に寄与できればと思います。また、今回のSXSWではオンライン動画上で膨大なディスカッションが行われましたが、Sōsekiを使うことでその会話の字幕から「どのような質問がされたか?」「どのような議題が扱われたか?」を索引できるようになればより共有性が高まるのではないかと感じました。

●この技術を生かし、どのような未来をつくりたいですか?
現代は情報が溢れすぎているがゆえに「知」の集積が分散され、似たような研究を他社同士でしてしまっていたりと、共有と前進がうまくできていないケースが数多くあるように感じています。過去の情報や先人たちの功績を正しく把握し、それを礎に新たな「知」を積み重ねることが本来の人間が目指すべき世界観なのではないかと考えています。AIを用いて本来必要ないはずの無駄や手間を省き、生産性の向上や進化のスピードを加速させることで、そうした人類の「知」の継承に貢献できればと思います。

オンラインにてアップされている2つのデモを実際に使用してみると、その精度と返答スピードに驚かされます。AIの合理化により、誰もが正しく素早く「知」にアクセスしやすい環境を作り結果として人類の進化を加速させるというビジョンは、人工知能の最も豊かな活用の仕方の一つだと感じました。社内文書検索の他にも、現代のSNS等で膨大に発信されているテキストデータを読み解けば、トピックやニュースなどに対する人々のリアルな反応や声が抽出できそうです。

「Studio Ousia」HP
https://www.ousia.jp/ja/

「トリビア・マスター」HP
https://demo.soseki.ai/

「Todai To Texas」HP
https://todaitotexas.com/