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2021.08.31

レポート | 知財ハンターがやってみた

【知財ハンターがやってみた】落下型インスタレーション「DEEEP」でどこまでも深く潜ってみた

DEEEP

“没入”という言葉をよく耳にするようになった今日この頃。そんな中、今年7月に行われた“没入する落下型インスタレーション”の体験会がちょっとした話題になっていました。

その名は「DEEEP」。

DEEEPは五感のバランスを大きく変え、深い場所へとたどり着く落下型インスタレーション作品です。
視覚を遮り、暗闇の中で「聴覚と触覚」を増幅します。
体験者は特殊エレベーターに乗り、深く下降をつづけ、誰にも介入されない場所へとたどり着きます。

という説明のとおり、暗闇の中で“落ち続けている”不思議な感覚を体験するというもので、体験会の予約が開始されるや数時間で予約が満席となった、幻(?)のインスタレーションです。

今回はその新感覚を体験すべく、知財ハンターが取材してきました。

(当記事はネタバレを含みます。今後「DEEEP」を体験する予定のある方はご注意ください)

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■体験の流れ

まずは「DEEEP」の案内人から、注意事項の説明とアイマスク装着・専用シューズへの履き替えの指示があります。何も見えない状態になるため、そのあとは案内人の肩に両手を預ける形で地下にある体験装置まで連れていってもらいます。

準備

エレベータ

(このあとは真っ暗のため画像がありません・・・)

「DEEEP」の体験装置に到着すると、重厚感のあるひとりがけの椅子に座ります。周りは漆黒の闇。本当に何も見えません。案内人が「それでは始めます」と言い残しその場をあとにすると、なんだかちょっと心細くなってきました。

少しすると、ガチャン、という金属音とともに椅子がわずかに揺れ始めました。四方にある鎖に椅子が吊られた状態で徐々に“落ちて”いくような、不思議な感覚です。神秘的な音楽もかかり始め、ゆっくりと落ちながらも、社長椅子のような座り心地の良い椅子にもたれているので不安感はなく、むしろ快適に感じました。

「どこまで落ちるのかなぁ」と思った頃に振動が止まり、“底に着地”しました。すると今度は音楽の曲調が変わりボリュームが上がって、重層的な音に包まれる感覚になります。個人的にはこの時間が一番心地よく、深い場所で音を浴びているような、なんとも言えない新しい体験でした。

(この、“底に着地”して包まれる感じ、何かに似てるなぁとずっと思っていたのですが、「もののけ姫」の森や「風の谷のナウシカ」の腐海に深く入っていくシーンに近いのかも!とあとから気づきました。ナウシカたちに近い感覚を疑似体験しているのだとしたら、なんとも貴重な体験です。)

nausicaa002 © 1984 Studio Ghibli・H

その後、今後はゆっくりと“上昇”していきます。四方の鎖が逆回転して、地上に徐々に戻っていく感覚です。どちらかと言うと、この上昇時の感覚の方が落ちる時よりもリアルに感じました。落ちていった時と同じくらいの時間で振動と音楽が止まり、地上に“帰還”して体験は終了となりました。

ちなみに繰り返しになりますが、一連の体験中は完全なる暗闇の中で行われるので、下降、上昇、鎖などの装置の仕組み、音の出所などはすべて私の想像で、真偽はわかりません。序盤は「きっとこうなってるんじゃないか」と仕組みを考えながら体験していたものの、最後にはすっかりどうでもよくなって(笑)体験に身を委ねていたので、それがもしかしたら「没入している」ということなのかもしれないと感じました。

■体験を終えて感じること

過日行われた体験会では、参加者の方々に感想を一言もらっていたとのことですが、筆者はとても一言では感想を言い表せず、体験から数日たった今も「一体あれは何だったのだろう?」という気持ちが続いています。

<参加者の感想の例>

ふわふわ/気持ち良い/まるで臨死体験/めっちゃ不思議/ととのう/無 etc...

しかし、もしかしたらこの掴みどころのない感覚がこの「DEEEP」の醍醐味なのかもしれないとも思います。リラクゼーションなのか、音楽鑑賞の形なのか、メディテーションなのか・・・「落下型インスタレーション」という漠然としたリードしかないことで、かえって個人のさまざまな捉え方を引き出し、“問い”を生む要素を強くしているのかもしれません。

暗闇の中での体験プログラムとしては「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」(視覚障害者の案内により、暗闇の中で視覚以外の様々な感覚やコミュニケーションを楽しむソーシャル・エンターテイメント)が有名ですが、これに類似する部分もあるように感じます。筆者はこちらも体験したことがありますが、視覚がなくなることで「対話とは何か?」「真の他者理解とは何か?」を考えさせられる素晴らしいプログラムでした。

スクリーンショット 2021-08-26 17.12.38 ©️一般社団法人ダイアローグ ・ジャパン・ソサエティ

これに対して「DEEEP」は良くも悪くもそれを何と捉えるかはすべて体験者任せ。そして、この体験をこのままインスタレーションという領域の中で表現することもできますし、あるいは意味を与えたり要素を追加して新たなメディテーションプログラムやエンターテインメント等に昇華させることもできるでしょう。つまり、発展途上であるがゆえに今後の方向づけ次第でさまざまな可能性があるのだと感じました。

ー「DEEEP」という知財を“やってみた”結果ー

最後に簡単に良かった点と、今後さらに期待したい点をまとめます。

良かった点:

  • 予想以上に落ちる感覚・上がる感覚が再現できていた

  • 音楽のクオリティが高く、没入に近いと思われる感覚を得られた

  • この体験は何なのか?という問いが生まれ、記憶に残る時間となった

  • 今後のブラッシュアップによってさまざまな可能性がある

期待したい点:

  • 体験の前に、没入を促進するような演出があるとさらに期待感が増すのではと感じた

  • 香りや風など、五感を刺激する追加要素を組み合わせるとどうなるか体験してみたい

  • インスタレーションを超えた方向づけ(例:メディテーションとしてのプログラム化/アトラクション的なエンタメコンテンツ化など)をしたらどうなるかが気になる

以上、「DEEEP」の体験レポートでした!

DEEEP公式サイトはこちら

文:知財ハンター/丑田美奈子

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