No.019
2019.12.10
木から生まれたアルコール
木材の発酵技術
概要
この技術は、木を発酵させてアルコールを抽出する技術だ。アルコールを造るには、原料に含まれている糖を酵母が分解するアルコール醸造というプロセスを踏む必要があるが、木は糖を含んでいるが固い細胞壁が邪魔をし、アルコールを製造することは難しかった。湿式粉砕処理を使った技術のおかげで、木の糖を抽出させて醸造することが可能となった。今後、様々な木の特徴を表現した「木のお酒」が製造できる可能性がある。
妄想プロジェクト 妄想プロジェクト
木のお酒とアロマのサブスクリプションサービス
「木材の発酵技術」が一般に普及すれば、全国各地の山材を原料とした「木のお酒とアロマオイル」が毎月届くサブスクリプション・サービスができるかもしれない。毎月、産地の違う「木のお酒」を飲み、同じ木材から抽出された「アロマオイル」を焚きながら、遠く離れた山々に思いを馳せて五感で酔いしれる新しい晩酌体験。都会にいながらも、日本各地の山林の風味が楽しめる新しいサービスとなるだろう。お酒になる前の木材の産地見学を実施したり、林業×醸造×サブスクリプションという、業種を横断したネットワークによる新たなビジネスモデルの確立も期待できる。
なぜできるのか?
木材を糖化・発酵する湿式粉砕処理
水中で木材を微粉砕することにより、熱処理や化学的な薬剤処理を行うことなく木材の糖化と発酵を可能とする「湿式ミリング処理」を応用して、低温(80℃以下)で木材に食品用の酵素と酵母を加えてアルコール発酵する技術を開発。
長期間の樽熟成が不要
実験の結果、スギ糖化発酵液の蒸留物からはスギ材特有の香りが、シラカンバ糖化発酵液蒸留物からは、甘く熟した芳醇な香りを感じることができた。この香り成分を分析したところ、ウイスキーやブランデーを長期間樽熟成したときに生成する熟成香の成分が含まれていることが明らかとなった。このことから、本技術により試験製造されるアルコールには、長期間の樽熟成を経ずとも、木から醸し出される香り成分を豊富に含むことがわかり、1200種類とも言われる日本国内の樹木それぞれからバラエティーに富む香りを持つアルコールが製造できる可能性がある。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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