No.035
2019.12.10
水域を豊かにしながら社会基盤を開発
環境活性コンクリート
概要
環境活性コンクリートとは、水中に設置することで周囲の水域環境を活性化させることができるコンクリートである。コンクリートに混和されている「アルギニン(アミノ酸の一種)」がゆっくり溶出することによって、藻や海藻の成長を促し、藻類を起点とした良好な水域環境と生態系ピラミッドをつくることができる。従来、対立する要素だった自然と人工物を共生関係へと変えることで、環境保全と社会基盤開発の両立が期待されている。
なぜできるのか?
アミノ酸による藻類の成長促進
環境活性コンクリートは混和されているアミノ酸によって、表面に付着する微細藻類や小型海藻の生長を促し、量は最大約3倍、成長スピードは5〜10倍となる。また、さまざまな魚介類は各種アミノ酸に味覚・嗅覚応答する性質があるため、摂餌促進となり豊かな生態系を構築することができる。すでにワカメ、アカモク、モズク、アユなどの水生生物の生態活性化の事例がある。
効果の持続と強度
環境活性コンクリートに含まれるアミノ酸の溶出期限は約15年と見積もられている。また、普通コンクリートと同等の強度を確保している。環境にやさしいコンクリートとそこに発育する藻類により、水生生物の産卵場所や隠れ家、餌場を安定して創出し、豊かな生態系をつくり出すことができる。
防災と環境保全の両立
「開発VS環境」「防災VS環境」といった従来の対立を共生へと変え、環境配慮を保ちながらさまざまな社会基盤設備の創造が可能となる。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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