No.039
知財図鑑関連アワード受賞知財
2021.11.08
未来を明るくする、衛星データプラットフォーム
Tellus(テルース)
概要
Tellusとは、さくらインターネットが経済産業省の宇宙産業政策として開発・運用している衛星データプラットフォーム。今までは一般的に利用しづらかった衛星データおよびその分析・解析・アプリケーション開発が行える環境を提供することで、誰でも簡単に衛星データを利用することを可能にする。衛星データの売買も可能であり、新たなビジネスマーケットが創出されることが期待されている。
なにがすごいのか?
今まで一般的には利用しづらかった、衛星データを自由に利用することができる
政府の提供する衛星データだけではなく、民間が提供する地上・宇宙のデータも多数保持
「JupyterLab(統合開発環境)」によって、衛星データや地上データを掛け合わせた解析が手軽にできる
誰でもデータ、アルゴリズム、アプリケーションなどを販売・購入できるプラットフォーム
なぜ生まれたのか?
近年注目を浴びている宇宙ビジネス。2030年代にはその市場は世界的に約70兆円以上に達すると言われている。このような状況から、内閣府も2030年代早期の市場規模の倍増に向けて動き出した。その鍵を握る要素のひとつが「衛星データ」である。
従来、利用者側に解析能力がないと扱いづらかった「衛星データ」だが、「Tellus」は様々なデータをオープンにした上で簡単に解析できる仕組みも作り、誰でも気軽に活用可能とした。
妄想プロジェクト 妄想プロジェクト
地上と宇宙から考えるマイホーム計画
一軒家の購入、あるいは新しい地域への引っ越しには、苦労が付き物だ。実際に住んでみてからわかる不便や困りごとを避けるため、事前に入念なリサーチを行うにはあまりに時間と労力、そして費用がかかる。そこで、物件を調べる際に、広さや土地の価格、最寄り駅からの距離といった通常の検索条件の他に「Tellus」を利用した宇宙視点での検索項目を追加できたらどうだろう?
さまざまな衛星データから地理的・空間的情報をピックアップして比較ができるだけでなく、人口の移動動態や花粉を出す植物の分布情報なども入手できるため、「都内だけど緑に囲まれた日当たりのよい場所に住みたい」「通勤ラッシュを避けられる場所に家が欲しい」「花粉があまり飛んでこない場所を探したい」といった、あなた固有の検索条件に従った理想の物件を教えてくれるかもしれない。
なぜできるのか?
オープンで多彩な衛星データプラットフォーム
官民の枠を超えた多彩な衛星データの提供により、標高や気象情報、緑地面積、人口動態から人の流れまでといった多岐にわたるデータを検索・解析できる。
ビジネス創出のための様々なソリューション
2020年2月のアップデートによりツール(データ、アルゴリズム、アプリケーション)を誰でも取引できる「Tellus マーケット」が開設された。Tellusには、ビジネス開発、投資、インフラ、データ収集・利活用など様々な領域の企業が参画しているため、ビジネスパートナーのマッチングも期待されている。
衛星データの売買が可能
2021年10月26日に提供開始されたTellus Ver.3.0の新機能「Tellus Satellite Data Traveler(テルース サテライト データ トラベラー)」では衛星データの売買が可能。ユーザーは衛星のセンサーの種類や時刻、AOI(関心領域:Area of Interest)などを指定・検索して購入することができ、また、任意の環境に購入した衛星データを保存することもできる。
相性のいい産業分野
- 旅行・観光
衛星データをもとにした潜在的観光スポットの発見
- 流通・モビリティ
気候と人流のデータを掛け合わせた最適な配車
- メディア・コミュニケーション
施設内の混雑情報を考慮したスムーズなユーザー誘導
- 環境・エネルギー
森林や海水などの地理情報を利用した環境保護活動
- 生活・文化
気候リスクを考慮した屋外キャンペーンの開催時期や実施場所の検証
この知財の情報・出典
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