No.158
2020.06.11
ペットボトルを不要にする水のパッケージ
Ooho!(オーホ)
概要
Ooho!(オーホ)は、海藻などの天然成分由来の食用膜。Ooho!に水を入れれば「水カプセル」として掴んで持ち運ぶことができる。皮膜は風味をつけたり、着色することができ、清涼飲料水、アルコール、調味料などその他の液体類にも使用が可能。自然環境下では4〜6週間で生分解されるため、ペットボトルやカップの代替品として環境負荷の軽減に貢献することが期待されている。
なにがすごいのか?
水も容器も天然成分由来でそのまま食べられる
わずか4~6週間で分解される生分解性の高さ
風味や着色が可能なパッケージ
なぜ生まれたのか?
従来、水を持ち運ぶ際にはペットボトルやカップが利用されてきたが、製造と廃棄の際に必要となる莫大なエネルギーやCO2排出量は環境問題の一角として認知されてきた。英ロンドンのスタートアップ企業「Skipping Rocks Lab」は、こういったプラスチックによるグローバルな環境問題の解決を目指し、2014年より自社製品開発を行ってきた。2017年に大量に廃棄される水分補給用のペットボトルの量を減らすことを目標として、水をパッケージングする素材を環境負荷の少ないものに代替するというアイデアを元にOoho!開発のための資金調達を開始。2017年のロンドンマラソンでは、給水所でのペットボトルの代わりにOoho!を試験的に導入したことにより、持続可能なマラソン大会への大きなステップとなった。
現在では、ケチャップなどのソースを入れる容器や使い捨て容器の中敷き、食品ラップなど一部のプラスチック製品の代替としても活用されており、将来的に果物や野菜を包むネット、ハードウェアなどの非食品の商品を入れる袋への代用が検討されている。
妄想プロジェクト 妄想プロジェクト
作物をパーソナライズして育てる、Ooho!ドローン・スマート農業
農業の分野において、農薬や肥料の散布、種まきや農作物の受粉など、あらゆる行程をドローンが行うスマート農業が近年浸透しつつある。そこに、中に含む成分をコントロールすることができる天然由来・自然分解の「Ooho!」を掛け合わせれば、作物やエリアにより効果的な栄養素をピンポイントで散布できる新たなスマート農業が生まれるだろう。全てが遠隔操作なため、労働負担の軽減のみならず、従来は人の手では補いきれなかったポイントやタイミングでも散布が可能。新たな作物の育成やブランドの創出が期待できる。土壌・気候・温度等の例年データから、作物の育成段階ごとにマッチした栄養素を含んだ「肥料Ooho!」をつくり出し再現可能なパッケージとすれば、あらゆる地域で同条件の作物が育成できるようにもなるだろう。
なぜできるのか?
環境に優しいパッケージ
植物や海藻から抽出されたアルギン酸と塩化カルシウムといった天然素材を使用することで、環境負荷の低いパッケージを実現。
省エネな製造プロセス
Ooho!の製造に必要なエネルギーはペットボトルの1/9であり、CO2排出量も1/5にまで抑えることができる。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © Notpla Limited.