No.159
2020.06.04
形状の全く異なるロボットで人間らしい動きを再現
リンク列マッピング
概要
リンク列マッピングは、モデルのリンク列を関節数やプロポーションの違う任意のロボットのリンク列にマッピングする技術。モーションキャプチャなどで取得した人間の動きを、人間と同様の動きを行うことができるヒューマノイドロボットをはじめ、犬・猫・鳥・魚・蛇・昆虫などの形状の異なるロボットにおいて再現できる。従来必要だったマッピングのための変換式を人手で作らずに済み、モデルが想定外の動作をしたとしても、ロボットのリンク列を計算できるため、ヒューマンライクな柔軟な動きに対応したロボットの生成に寄与することが期待される。
なにがすごいのか?
モデルからのロボットリンク列の算出
関節可動域や連結箇所数の違いに幅広く対応
変換式の設定にかかるコストを削減
なぜ生まれたのか?
ロボットに人間と同様の動作をさせることは、ロボット工学の長年の課題であった。同様の動作をさせるためにキャプチャした人間の動作情報をロボットに入力する際、関節数が人間より少なかったり関節可動域が狭かったりする場合には、人間の動作情報をロボットに合うように変換する必要があった。しかし、そのような変換の設定は人間が手動でロボットの種類ごとに異なる設定を行わなければならなかった。また、変換の設定を行っていても、人間が想定外の動きを行った場合には適切に変換することができず、ロボットの動きが停止してしまうなどの問題もあった。こういった問題点を受けて、モデルの動きをロボットにマッピングする際、人手によってその変換式等を作成しなくてもよくしたいという要望があった。
なぜできるのか?
想定外の事態に対応するリアルタイム処理
モデルのリンク列における複数の箇所の座標値を特定し、ロボットのリンク列においてこれらの箇所に対応する箇所との距離を目的関数とする。変換式ではなく、最適化問題を解く任意のアルゴリズム(最小二乗法など)を用いることで、逐次パラメータを推定する。これにより、モデルのリンク列の位置が想定外のものになったとしても、ロボットのリンク列を算出でき、ロボットの動きが停止する事態を回避できる。
相性のいい産業分野
- ロボティクス
人間の運動機能を模擬するダミー人形としてヒューマノイドを利用するロボット行動生成
ヒューマンエージェントインタラクション(HAI)に基づくロボットの親和性向上
- スポーツ
リンク列マッピングによって姿勢制御された自律型ロボットでサッカーチームを結成
- アート・エンターテインメント
動物型ロボットがまるで人間のような動作で案内する動物園
ライブ映像から映像解析とリンク列マッピングにより、マイケルジャクソンを模倣したダンシングロボットを作成
- 医療・福祉
協調運動障害を伴う患者の作業療法におけるアシスト用ロボットハンド
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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