No.174
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2020.10.07
プールからダム・河川まで、水中環境を整える空気供給装置
ばっ気設備
概要
ばっ気設備は、水を空気にさらして液体内に酸素を供給する「ばっ気」を行うために荏原製作所が開発した空気供給装置。従来のばっ気設備は、養殖池などの水中底部に堆積したヘドロを巻き上げることで池の水を汚染し、被養殖生物の成長を妨げてその収穫量を減少させるばかりか、養殖池自体の寿命を短くし、さらにこの水を外部に排水することで周辺環境を汚染してしまうという課題があった。ばっ気設備は、養殖池や水質汚染の進んだ河川におけるヘドロや被養殖生物の死骸などの巻き上げを防止するとともに、河川やダムの水位が変動した際にも安定して空気の供給を行うことが可能となる。
なにがすごいのか?
ヘドロを形成せずに空気を混合・ばっ気
酸素が水中に溶け込む時間が長く、溶存酸素改善効果が高い
水位変動の影響を受けにくく、安定した空気供給が可能
なぜ生まれたのか?
水質汚染の進んだ河川、ダム、池または沼等の水にあっては、例えば硫化水素による悪臭が発生し、また鉄筋コンクリート管等の腐食が問題となるため、これらを浄化することが求められている。水中に空気、または酸素を注入して酸素を供給し、水中の溶存酸素量を増加させ、好気性条件とすることによって硫酸塩還元細菌の活動を抑制し、硫化水素等の発生を防止できることが知られている。
これを受けて荏原製作所は、ポンプ事業で培った独自技術を活かすことで、高い安定性と環境への配慮を備えたばっ気設備を開発するに至った。
妄想プロジェクト 妄想プロジェクト
水中を自在に行き来する水上アトラクション
この「ばっ気設備」を活用した水上アトラクションは、お客様に新しい体験を提供できるだろう。ばっ気によって浮力をコントロールすることで、局所的に水中に浮き沈みできるゾーンを作れば、巷の平面だけを流れるプールとは異なり、全方位型の新感覚のエンターテインメントとなりうるかもしれない。
アミューズメント施設としての楽しみ以外にも、空気中の酸素濃度を調整すれば、疲労回復やリフレッシュ効果も備えた美容スパにもなりうる。このように、ばっ気設備は産業用途だけでなく、私たちの身近な場面において応用できる可能性があるのだ。
なぜできるのか?
面状のパイプラインでヘドロを減少し、環境を保護
吸込側と吐出側のパイプラインが養殖池底部に面状の広がりを持つように設置され、それぞれに吸込口と吐出口を設ける。被養殖生物の収穫時は三方弁を切り換えて養殖池の水の吸い込みと吐き出しとを池全体に対して均等・面状に行なう。それにより、従来のような池全体にわたる広範囲な循環流れが生じず、側面や底部が侵食されにくく、被養殖生物が食べ残した餌や死骸等が底部に堆積せずにヘドロを減少できる。また設備中の濾過機により水中の浮遊物を除去し被養殖生物の病気を防止できることから、水の汚染を防止し、被養殖生物の収穫量を維持できる上、養殖池自体の長寿命化が実現できる。さらにこの水を外部に排水しても周辺環境を汚染することはなく、養殖池と周辺地域の環境を保護できる。
ゆっくり放流することにより、溶存酸素を多く溶け込ませる
放流管として長尺状に延びる管を使用して水中に敷設し、この放流管に設けた複数の放流穴から流速を落とした水をゆっくり放流することで、放流水によるヘドロ等の巻き上げを防止することができる。同時に、ポンプによる加圧を低く抑えて放流管内で空気と水とが接触する時間をより長くし、空気を溶存酸素として水中により多く溶け込ませることができる。
ポンプの吸込み側の負圧を利用し、安定性を保つ
ポンプの吸込み側の負圧を利用して吸入する空気の吸入量を制御する空気吸入量制御部を有するため、水位が下がってポンプの吸込み側の負圧が大きくなった時には、吸入する空気の量を制限し、水位が上がってポンプの吸込み側の負圧が小さくなった時には、吸入する空気の量が増大するように空気吸入量を制御する。これによりポンプの吸入する空気量が多くなりすぎたり、少なくなりすぎることを防止する。
相性のいい産業分野
- 生活・文化
ばっ気によって通常より酸素量が増加し、血行促進に効果的なスパ
学校のプールや水族館における日常的な水質のメンテナンス
- アート・エンターテインメント
水圧をコントロールすることで浮力をコントロールし、水中に浮き沈み可能な水上アトラクション
- スポーツ
都心部でのトライアスロンにおける、海岸のゴミや不純物の濾過やメンテナンス
この知財の情報・出典
・特許第3938550号 養殖池の曝気設備
・特許第4148881号 曝気システム
・特許第4255813号 微細空気供給装置
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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