No.183
2020.08.25
世界で最も明るく、個体状でも光る蛍光染料
SMILES
概要
SMILES(small-molecule ionic isolation lattices;低分子イオン分離格子)は、既存のあらゆる蛍光染料の輝度を上回る、世界で最も明るい蛍光染料。通常、液体状態では分子間の距離が保てるため蛍光色素が自由に光を発することができるが、固体状態では蛍光色素間の電子結合が蛍光色素の発光を消光してしまうことで、ぼんやりとした蛍光しか実現できなかった。SMILESでは、シアノスターと呼ばれる環状の大型分子の中に蛍光分子を格納し、蛍光分子間の距離を保つことでこの課題を解決し、蛍光染料の結晶化を可能にする。将来的には、有機ELやフォトニクスといった光学材料だけでなく、太陽光発電への応用も期待されている。
なぜできるのか?
シアノスター
SMILESは、カチオン性染料とアニオン結合シアノスターマクロサイクルを混合することによって生成する。シアノスターはプラスに帯電しており反発し合って距離をとる性質があるが、この性質を用いることで、格子内で空間的にも電子的にも、格納した蛍光色素を脱結合させ、距離を保たせることができる。加えてシアノスターは、この内部に組み込む分子を変え、赤外線のようなエネルギーの低い光を収束・変調させることで、太陽光発電の効率化に貢献する可能性も示唆されている。
紫外線の供給で半永久的に光り続ける
光源として紫外線を供給することにより、蛍光染料を光り続ける固有光源として使用が可能。従来の光は電球やLEDが主に発光していたが、紫外線供給源との組み合わせでSMILESで描いた模様等を光源にすることができる。
相性のいい産業分野
- アート・エンターテインメント
夜の街の壁に描かれた、電球やネオンよりも強力に照り輝く次世代ペンキアート
人工蛍でロマンチックなスポットを演出「ロマンチック蛍」
暗所で光るメイクでアッと驚く「眩しいヤマンバギャル」
普段は紫外線を吸収し白色だが、夜になるとカラフルに浮かび上がる「ナイトタイム遊園地」
ライブ会場で何度でも再使用可能な固形蛍光スティック
- 製造業・メーカー
3Dプリンターの蛍光インクとして、様々な形の光る造形が製作可能
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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