No.194
2020.09.03
疲れを"視る"ウェアラブルデバイス
汗中乳酸測定ウェアラブルデバイス
概要
汗中乳酸測定ウェアラブルデバイスは、汗に含まれる乳酸値を計測し、付属のアプリで疲労度を可視化することで、効率的な運動量を提示するウェアラブルデバイス。従来の運動負荷測定では、採血による被験者への侵襲性や、高価で操作の煩雑な大型測定機器の不便性といった課題が残されていた。一方、汗中乳酸測定ウェアラブルデバイスは、非侵襲的に採取できる汗の乳酸濃度に注目し、従来の運動強度指標の代替として解析することでこれらの課題を克服する。将来的には、アスリートのトレーニングや心疾患患者のリハビリテーションにおける最適な運動プランの提案がより簡便に行えると期待されている。
なぜできるのか?
AT値からLT値解析へ
心血管疾患からの早期回復を目指す心臓リハビリテーションでは、運動時に吐く息から計測される乳酸産生のAT値(*1)を指標として、代謝レベルを測定する。しかし、この計測に必要な呼気ガス分析装置は高価で、運用が難しい。一方で汗中乳酸測定ウェアラブルデバイスは、LT値(*2)を汗中の乳酸量から計測する。
(*1) Anaerobic Threshold: 嫌気性代謝しきい値。有酸素運動から無酸素運動に切り替わるポイント。
(*2) Lactate Threshold:乳酸性しきい値。AT値と高い相関を示すため、AT値の代替指標として利用できる。
汗中乳酸測定アルゴリズムの開発
慶応義塾大学と、乳酸に触れると電流が流れるセンサの特許を持つ化学メーカーJSRが共同設立した研究施設「JKiC」(JSR・慶應義塾大学医学化学イノベーションセンター)において、独自の測定アルゴリズムが開発されている。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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