No.208

2020.12.02

監視カメラの追跡から逃れる、AI時代の迷彩服

UNLABELED

UNLABELED

概要

「UNLABELED」は、身に着けることで監視システムから認識(ラベル付け)されにくくなる衣服。近年の監視カメラやドローンの普及、監視映像データの蓄積、映像からの物体検出技術の発展に伴って、我々の行動は知らず知らずのうちに追跡され、個人特定やプライバシー侵害の危険に曝されている。「UNLABELED」はそんな現代社会へのアンチテーゼとして開発されたカモフラージュ手段である。人間と認識されにくい柄のパターンを学習したモデルを構築し、このモデルから人工生成された画像をベースに衣服をデザインすることで、人間として認識されにくい「第二の皮膚」を纏うことを可能にする。人間の身体性や人権について再考させられるような知財でありながら、製品化・応用の可能性も秘めた要注目の知財である。

一見すると迷彩服のような「UNLABELED」だが、人間として認識されにくい特定のパターンでデザインされているため、自身を監視の目から守ることができる。

UNLABELED

なぜできるのか?

ノイズを抑制する技術を逆手にとった手法

UNLABELEDは正しく機能している分類モデルに対して、人にはほとんど認識でない微小なノイズを加えることにより誤認識を誘発するような技術(=Adversarial Example)を応用している。一般的にはいかにAdversarial Examplesを抑制するかという研究が主にAIのセキュリティの領域において盛んだが、本プロジェクトではこの技術を逆手にとり、生成した服として実世界にインストールし、身に纏うことでAI画像認識モデルの認識から逃れることを目指している。

監視社会に対するメッセージ性

公共の場や家の外に設置された監視カメラによって、“個人の行動”だけでなく、個人を特定する生体データ技術や画像認識技術を用いた“物理的な身体・実空間の情報”も瞬時にデータ化され、私たちのプライバシーは常に脅かされているとして、現代社会に警鐘を鳴らすプロダクトである。そのメッセージを監視技術側からではなく、監視される人間の身体の側から表現していることが特徴的である。

誰もが身近な“衣服”に落とし込んだ実用性

実際に服として制作することを考慮し、人間の全身をスキャンした3Dモデルに対して、生成されたAdversarial Examplesを貼り付けた画像を学習データとした。「人」として認識される確率が少しでも下がるように、徐々に画像をアップデートし、3Dシミュレーションによる学習データの生成とテクスチャのアップデートのプロセスを繰り返すことで、服として着用したときにも有効なAdversarial Examplesを生成することに成功している。完成したパターンはポリエステル混紡の無地生地に熱転写で印刷を行い、パターンカット、縫製、仕上げという衣服製作の手順を踏み、一般的な服と同じように着用できる。

相性のいい産業分野

アート・エンターテインメント
  • メッセージ・意思のあるアイコンとして着用される衣服

  • 監視画面から誰が人間で誰が非人間なのかを当てる、監視社会を考えるためのオンラインゲーム

生活・文化

プライバシーを守りたい場所で着用するレンタルケープ

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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