No.285

2021.03.11

体温で電気を作るウェアラブル発電機

サーモエレクトリック・ジェネレーター(熱電発電機)

サーモエレクトリック

概要

サーモエレクトリック・ジェネレーター(熱電発電機; Thermoelectric Generator; TEG)とは、体温を電力に変換するウェアラブルデバイス。皮膚表面から空気中へ熱放射される体温を無駄にせず回収し循環利用することで、一定の電力を供給し続け、バッテリーや電池交換の手間を軽減できる。従来より体温で発電するウェアラブルデバイスはあったものの、硬くて脆い弱点ゆえに人体に馴染みにくく、消耗品としての側面が大きかった。一方、本記事のサーモエレクトリック・ジェネレーターは伸縮性や自己修復性に優れるため、さまざまな形状の電子機器にフィットしやすく、リサイクルにも向いている。今後は、IoT時代の次世代型電源としての活躍が期待されている。

サーモ2

皮膚表面1平方センチメートルからできる電気エネルギーはおよそ1ボルト。高電圧ではないが、時計やフィットネストラッカーなどの電子機器に電力を供給し、半永久的に稼働させるには十分だ。

なぜできるのか?

形にフィットしやすい「伸縮性」

サーモエレクトリック・ジェネレーターは、ポリイミンという伸縮性の高い基板素材に、薄い熱電チップが貼り付けられてできている。このベース素材の伸縮性によって、熱電部分に大きな負担をかけることなくブレスレットや指輪のような複雑な形状に加工できる。

環境に優しい「リサイクル性」

ポリイミンでできたモジュールは、剥がしてポリイミンを溶かす特殊な液に浸すことで、すべて再利用できる。そのためデバイスが破れるなどの損傷があっても、リサイクルしやすい。従来のバッテリーより環境に優しい代替品といえる。

LEGO(レゴ)ブロックのような「拡張性」

レゴブロックを組むように発電ユニットを追加することで、デバイスを拡張できる。これにより電力の増強も期待できる。

相性のいい産業分野

環境・エネルギー

HUMOFIT(ヒューモフィット)と組み合わせて全身を発電機に改造し、移動時に生じた身体の火照りを電力に変換して提供するサービス「電力行脚」

生活・文化

アイスバッテリーで冷却輸送した新型コロナワクチンを、電源の無い村で解凍

医療・福祉

風邪症状のある人の体温由来電気をランプに接続、ランプの明るさで熱の下がったことを知らせてくれる体温計

アート・エンターテインメント

発電機の不要な路上ライブパフォーマンス

この知財の情報・出典

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