No.291
2021.03.19
100%植物由来の土に還るレザー素材
プラントレザー
概要
「プラントレザー」とは、バイオ素材を原料とした100%植物由来のレザー素材である。植物油・天然ゴムを原料としているため、従来の天然皮革と比べると環境負荷が40分の1となり、二酸化炭素排出量は98%も削減できる可能性がある。また、物質が微生物によって分解される性質を持つ100%生分解性で、自然に還る素材であることも特長。近年問題視されているファッション業界による環境負荷を軽減する手段として、幅広い活用が期待される。
なぜできるのか?
カーボンインパクトの軽減
植物由来の原料から作ることで製造過程のカーボンインパクト(二酸化炭素排出の影響)を減らし、従来の天然皮革と比べるとCO2の排出を98%削減できる可能性がある。またプラスチックから作られた人工皮革と比べても17分の1まで環境負荷を低減することに成功している。
自然に還る素材
人工皮革に使用される最も一般的な材料であるポリウレタンとポリ塩化ビニールは、生分解するのに数百年かかる場合がある。一方「プラントレザー」は、植物油・天然ゴムを原料としているため、分解されやすい。
パートナーシップを重視した開発姿勢
人工皮革や持続不可能なレザーに頼っているファッション業界の現状を変え、植物由来の製品を主流としていくため「プラントレザー」をオープンソースとして公開。外部を巻き込むことで業界全体への変革の波及を図っている。
目標はカーボンフットプリント排出ゼロ
「プラントレザー」の技術を持つAllbirds合同会社は、最終的な目標をカーボンフットプリント(温室効果ガス)をゼロにすることに設定。その達成のために、製造プロセスのカーボンフットプリント排出量の測定、天然素材やリサイクル素材などを取り入れることによる環境への負担軽減、そしてカーボンオフセット(※)の実施という包括的な取組みを行う。
※カーボンオフセット:できるだけCO2排出量が減るよう削減努力を行い、どうしても排出される分について、排出量に見合ったカーボンフットプリントの削減活動に投資すること等により、埋め合わせるという考え方
相性のいい産業分野
- 環境・エネルギー
アパレル業界の大量生産・大量消費による環境への負荷を軽減
- 資源・マテリアル
保護すべき動物の住処を作る素材として活用
- 製造業・メーカー
山や海で捨ててしまっても、自然に還るアウトドア用品
- アート・エンターテインメント
施設内の植物から洋服を作り、着古したら土に還して植物を育てる、循環型の「服を育てる植物園」
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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