No.345

2021.06.11

コンタクトレンズにデジタル情報をピントを合わせて表示する技術

ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ

ホログラムディスプレイAR表示

概要

ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイとは、コンタクトレンズ型のディスプレイで表示されるホログラフィー技術を用いた画像に目が自然にピント合わせを行い、装着者が現実世界にデジタル情報を重ねて見ることができる技術。スマホはもちろん、ヘッドマウントディスプレイや専用メガネの装着も不要で、コンタクトレンズの装着のみでAR(拡張現実)を表示できるようになる。従来の技術では、目が外界の物体にピントを合わせると目の焦点距離が変化し、集光がうまくいかなくなるという課題があった。目で見た実際の風景の中に自然にARが表示できることで、消費促進や医療・交通・観光情報の配信など、身近な生活の中にARが登場する時代が近づくと期待される。

ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ

なぜできるのか?

ピント合わせを可能とするホログラフィー技術

ホログラフィー技術とは、光の性質を活用し、物体に反射する際に変化する光の波の形=波面を再生することで、その場に存在しなくてもそこにあるように見せる技術。本技術では、コンタクトレンズディスプレイ内にホログラフィー技術を搭載。レンズ内で物体からの波面を再現することで、目の自然なピント合わせが可能となる。

約0.1mmのコンタクトレンズに内蔵可能なディスプレイ構造

光の波面を制御してホログラム表示を行う「位相型空間光変調器」と、光の特定方向の振動を制御する「偏光子」を、数μm(マイクロメートル:1/1000mm)の厚みで実現。位相型空間光変調器をレーザー照明するバックライトには、数μmの厚さで光の波面を変換できるホログラフィック光学素子(HOE)を活用。0.1mm程度の薄さのディスプレイを実現した。

相性のいい産業分野

製造業・メーカー

工場や倉庫などでの作業指示支援、技術継承・習得支援

住宅・不動産・建築

建設候補地の周辺地価・土壌・環境・人の往来など購入判断情報の提示

医療・福祉

技術習得や、MRIやCTなど検査データの術中表示による手術支援

流通・モビリティ

事故・渋滞・遅延情報などの情報通知や回避ルート案内

メディア・コミュニケーション

TVなどの端末を介さず場所を問わずに届ける、ニュース・映像配信

アート・エンターテインメント

リアルの展示物とホログラフィックを融合させた作品制作

生活・文化

商品が家の間取りに合うかや、用途・機能など購入判断材料の提示

旅行・観光

水中や空のアクティビティでの活用や、観光・地域情報の提供

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : ©国立大学法人東京農工大学