No.353
2021.06.22
旨味はそのままに塩分濃度をコントロール
脱塩技術
概要
「脱塩技術」とは、通常の調味料を用いて製造した食品から、自由自在に塩分のみを抽出してカットする技術。一般的な減塩調味料を用いて製造する「加算」方式の調理ではなく、調理品そのものから塩分を取り除くことができる「減算」の調理により、旨味及び風味をそのまま活かした脱塩調理品を提供することができる。高血圧、心臓疾患、腎臓疾患などで塩分摂取を控えなくてはならない人々の食事療法への一助となることが期待されている。
実現事例 実現プロジェクト
DESALT FOOD(デソルトフード)
「DESALT FOOD(デソルトフード)」は、脱塩技術を開発した株式会社エバートロンが提供する進化系減塩冷凍食品。脱塩技術を用いて塩分を抽出カットし、食材本来の品質や味を美味しく保つマイナス55度のドリップレス急速アルコール冷凍技術「W.O.W Freezer」(特許6791682)で凍結した商品となっている。第一弾として、「食べたことない ブリの照り焼きステーキ」の脱塩50%、「食べたことない ブリの照り焼きステーキ」の脱塩80%の2種がラインナップ。調理も湯煎で温めるだけなので、高齢者でも簡単に調理できる商品となっている。
Top Image : ©Getty Images
なぜできるのか?
旨味はそのままに塩分をカット
従来の減塩食品では、元々減塩で作られた調味料を使用するしかなく、料理人はその指定材料だけの減塩レシピで調理しており、理想とする味の再現は非常に困難とされていた。しかし、脱塩技術は従来の調味料を用いた調理の後に塩分だけを抽出カットするため、旨味はそのままに塩分濃度コントロールが可能となる。
脱塩装置による塩の分離
脱塩装置により、対象物を水分と物質に分離し、その水分から塩分を取り除いた「脱塩水」を再度物質と混合することで脱塩対象物を生成することができる。脱塩装置は殺菌処理や細菌の検出も可能。
味のバランスがとれた脱塩調理が可能
脱塩技術を用いた脱塩調理品の製造方法では、調味料または調理品から塩分を取り除いた(減算)後に、再度塩分を加えて(加算)、味を調えることもでき、最終的な食塩相当量を低減させながらも、味のバランスがとれた脱塩調理品を提供することができる。