No.390

2021.08.12

日陰のルートを案内する避暑サポートアプリ

Cool Walks

Cool Walk

概要

Cool Walksとは、出発地から目的地までの日陰を通るルートや避暑情報を歩行者に案内してくれるアプリ。直射日光を避け、住民が猛暑対策に活用できるツールとして、スペインバルセロナの公的機関、Barcelona Regional(バルセロナリージョナル)が開発した。通常の都市計画ではインフラ・施設建築などに注力し、歩行者の動線・行動を支援する取組みはあまり見られないが、本アプリは市民の外出をサポートすることで経済に貢献することを目的にルート情報を提供する。Cool Walksの対象エリアは現時点ではバルセロナの1地区だが、世界各国で同サービスが展開されれば、温暖化が進む地球環境で人が共存するための欠かせないツールになると見込まれる。

日陰 太陽光・地形データなどを組み合わせて時間帯ごとの日陰を特定

なぜできるのか?

太陽の軌跡と地形データで日陰を特定する独自アルゴリズム

光センサーで物体までの距離を測定し地形を捉える「Lidar」を活用し、10cm以内の精度で地面の高さを表す高解像度モデルを作成。作成したモデルと、太陽が出てから沈むまでの軌跡データを組合わせて、各時間帯でどこに日陰ができるかを算出するツールを開発した[上図]。算出データに基づき、アプリでは5段階(色のグラデーションで表示、強い=黄~弱い=ボルドー)で日差しの強さを判定・表示。3つの時間帯(10:00~10:30/13:30-14:00/17:00~17:30)で、目的地までのルートと日射状況を案内する。

状況に応じて選べる日陰レベル

使用者が状況に合わせて、日陰レベル・日光の許容レベルを選べるように設定。目的地まで最短で到着することを優先する「最短距離モード」、所要時間は多少増えるが日陰のルートを優先する「日陰モード」、直射日光をできる限り避ける「ヴァンパイアモード」がある。ヴァンパイアモードは、前日にビールを飲み過ぎたチームが、太陽光を完全に避けることを目指し開発したもの。例えば、14:00頃の時間帯である目的地を設定した場合、最短モードではルートの直射日光率42%となるところを、ヴァンパイアモードでは20%まで抑えられる。

暑さをしのぐ街情報の提供

日陰だけでなく、暑さ対策につながる水飲み場や避暑施設(シェルター)を通るルートを選ぶことも可能。水飲み場は主に公共施設だが、シェルターはマーケット・図書館・学校など、気温が高い時に避難できる場所がチョイスされている。またバルセロナ市は、温暖化対策の1つとして樹木のある土地の割合を増やす取組みを行っていることもあり、ルート案内時には各ルートの樹木の数も併せて表示される。

相性のいい産業分野

官公庁・自治体

温暖化する環境と共存できる街づくり・都市計画への活用

スポーツ

ロードスポーツにおける直射日光回避ルートの選定

流通・モビリティ

日陰の時間に店前を通る人をターゲットにした商品選定・配置

旅行・観光

史跡やスポットを日陰のあるルートで効率的に回れる観光案内

農業・林業・水産業

日陰・日差しデータの活用による農業のDX推進

資源・マテリアル

年中安定的に日差しがあるエリアでの太陽光発電

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © Barcelona Regional