No.402
2021.08.26
脳波を可視化するイヤホン型脳波計
VIE ZONE(ヴィーゾーン)
概要
「VIE ZONE(ヴィーゾーン)」とは、イヤーチップが電極となり、耳から脳波を取得できるウェアラブルデバイス。これまで、脳波の計測には装着のための手順が多く煩雑なつくりのデバイスが多かったが、VIE ZONEは通常のイヤホンと同様に耳に装着するだけで簡易に脳波を測ることができる。日常生活やエンターテイメント分野のみならず、医療現場やセンシングなどさまざまな場面で活用されることが期待されている。
実現事例 実現プロジェクト
BRAIN MUSIC EXPERIMENT ”CHILLS TEST”(チルズテスト)
「BRAIN MUSIC EXPERIMENT ”CHILLS TEST”(ブレインミュージックエクスペリメント "チルズテスト")」とは、脳波を可視化するイヤホン型脳波計「VIE ZONE」を活用して、音楽を聴いたときの脳の反応をライブ時の演出として映像化する実証実験のこと。KDDI株式会社のクリエイティブチーム「au VISION STUDIO」とVIE STYLE株式会社が共同で、「音楽によって人の脳はどう反応するのか」を研究するための実証実験としてスタートした。ライヴストリーミングスタジオ「SUPER DOMMUNE」で行われた実証実験では、VIE ZONEを装着した参加者の脳波をディスプレイに映し出すことで、音楽を聴いたときの脳の反応を可視化。DJの田中知之氏がVIE ZONEを装着して曲をプレイし、着席した4人の参加者がそれを鑑賞する形でテーマに沿った曲がプレイされた。脳情報という情報媒体を利用することで、これまで限定的だったデジタル・エンターテイメント分野における双方向的なインタラクションが期待されている。
Top Image :©BRAIN MUSIC EXPERIMENT ”CHILLS TEST”
なぜできるのか?
脳波を可視化するイヤホン型脳波計
VIE ZONEは、イヤホンや首元のネックセンサーから脳波・心拍・呼吸を測定する。VIE ZONEから得られた脳波信号は、ディスプレイに映し出されたりアプリと連携したりすることによって、視覚的に精神状態を認識できる仕組みだ。VIE ZONEは従来の脳波計測デバイスよりも小型で手軽に使うことができるため、これまで課題であった日常生活での脳の活動を誰もが計測可能になる。
測定した脳波をAIにより解析
VIE ZONEは、東京大学と共同でイヤホンから得られた脳波をAIで解析するシステムを開発し、フロー状態を推定することに成功している。この技術によって集中度・疲労度などが可視化され、労働生産性の向上や、メンタルヘルスケアを行うサービス、サウナでの“ととのう”プロセスを可視化するシステム、医療現場で患者の麻酔鎮静深度を測定するシステムなど、さまざまな開発に活用が広がっている。
相性のいい産業分野
- メディア・コミュニケーション
非言語コミュニケーションで一体感を演出する、コロナ禍での音楽イベント
- アート・エンターテインメント
計測された脳波から個人の精神状態に合わせた音楽をサジェストするプレイリスト
- 医療・福祉
リラックス状態を可視化して客観的に精神症状を計測するメンタルヘルスケアアイテム
- 教育・人材
従業員の疲労度などを可視化する健康管理システム
- 生活・文化
ドライバーの脳波から安全性を確認する運転支援策
この知財の情報・出典
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