No.408
2021.09.03
会話が周囲に拡散しにくくなる音環境制御システム
オトノカサ
概要
「オトノカサ」とは、オープン空間での会話音声が周囲に拡散するのを抑制する制御システム。カサの直下では音声が拡声されるため声量を抑えても会話が可能であるのに対し、カサの外には音声が広がらないため周囲に与える影響を最小限に抑制できる。会議などで議論が盛り上がり声が大きくなると、周囲がうるささを感じ集中力や生産性に悪影響を与えることがあるが、オトノカサは両者に適した環境を提供する。オトノカサは、オフィス環境の向上はもちろん、店舗導入などが進めば仕事場にできる場所が増え、働き方改革の促進につながると期待される。
なぜできるのか?
パラボラアンテナの原理を用いた放物面状のシステム
オトノカサは、放物面状のカサと、カサ直下の会話音声を収録するマイク、カサに向かって会話音声を拡声するスピーカーで構成。パラボラアンテナの原理を活用し、放物面の焦点に上向きに設置したスピーカーから収録音声を放ち、カサの真下に反射させる。それによりカサ下には音を拡声し、カサ外へは音を制御する。実証実験では、カサの外(カサの端から1mの距離)の音圧をカサ下より約10dB下げ、物理的な音エネルギーを約1/10に抑制した。
清水建設とTOAが持つ技術・知見の融合
オトノカサは、清水建設とTOAが共同で開発を行った。清水建設は、ビル設計や建築の技術・知見を活用し、システム構成やハウリング対策の考案を担当。拡声放送機器や音響機器の製造販売事業を手掛けるTOAは、マイクとスピーカーの組合せや、出力設定の検討を担った。両社はオトノカサを各事業へ活用していく方向で、TOAは出資しているコワーキングスペース「point 0 marunouchi」に試験導入を実施、清水建設は今後のオフィス工事に導入提案を行っていく予定だ。