No.420
2021.09.21
電力供給とワイヤレス通信を行う塩粒サイズの電子システム
生体情報をモニタリングする超小型チップ
概要
生体情報をモニタリングする超小型チップ「Application of a sub–0.1-mm3 implantable mote for in vivo real-time wireless temperature sensing」は、体内に埋め込み、超音波で電力供給とワイヤレス通信を実現する超小型チップ。生体内に埋め込んで使用する医療機器は医療現場において必要不可欠なものだが、一般的な機器は複数のチップやバッテリーなどが必要となる。本知財は、ワイヤレスで塩粒と同等のサイズのため、注射針で人の体内に注入することが可能。容易に生体情報を取得することができ、医療の進歩に貢献することが期待される。
なぜできるのか?
注射器で移植する小型軽量電子システム
米コロンビア大学とオランダ・デルフト工科大学の研究チームが開発した「Application of a sub–0.1-mm3 implantable mote for in vivo real-time wireless temperature sensing」は、総体積0.065立方mmと小型で、注射針で体内に移植することができる。埋込型の医療機器は、電池交換に伴うリスクの低減や機器の作動を安定させるために、機能化及び小型軽量化に向けた開発が進められてきた。本知財は完全ワイヤレスの電子システムとして機能するため、従来の煩雑な埋込型医療機器と比較して活用できる場面が増え、患者への負担も軽減することができる。
超音波を利用した圧電トランスデューサー
信号の送受信のために利用されるRFモジュール(2台の機器の間で無線信号を送受信するための電子デバイス)は電磁波の波長が大きいため、従来の小型デバイスではワイヤレス通信ができなかった。本知財では、超音波を利用してアンテナのような役割を担う圧電トランスデューサー(データ測定のための機器)を開発することで、電力供給やワイヤレス通信が可能になった。