No.442
2021.10.11
自律ロボットを人が遠隔でアシストするシステム
高度自律型遠隔制御システム(HATS)
概要
「高度自律型遠隔制御システム(HATS:Highly Autonomous Teleoperation System)」とは、自律ロボットを遠隔で接続し、人による操作で制御・サポートするシステム。乱雑に物が置かれた環境でロボットが自己位置を失い停止した場合や、人が多い場所で接触を恐れて停止したなどさまざまな高難度の業務時に、HATSのシステムを通じて人が遠隔で復旧作業を行う。AIが搭載されているロボットでもすべての異常状態を教え込むことは難しく、AIの限界が存在するが、人のアシストでそれを解消する。今後の事業展開により、自律ロボットの活用を促すとともに、人とロボットが共存する社会の構築に寄与すると期待される。
なぜできるのか?
既存のロボットにアドオン可能なシステム
HATSは、既存の自律ロボットにデータ通信を行う「HATS Edge」を組み込むことで活用できるシステム。プログラムまたはハードウェアの形でロボットにHATS Edgeがアドオンされると、専用サーバーへの接続とデータ通信が可能となる。異常停止などが起こった際は、HATS Edgeを通じてロボットからサーバーへ通知が送られるため、オペレータは異常発生を認識でき、即時のアシストを実現する。
データの一元管理とAI機械学習が可能な専用サーバー
自律ロボットの対応業務や位置情報、置かれている状態などはクラウド上の「HATSサーバー」にデータ通信・蓄積され、一元管理が可能。専用サイトでロボットの現在情報や、過去の動作履歴、エラー回数や稼働率などのデータを確認できる。またHATSサーバーに実装されているAI(HATS-AI)は、自律ロボットのデータやオペレータの操作履歴などで機械学習が可能。将来的には、HATS-AIがオペレータに操作方法をレコメンドしたり、オペレータを介さずにロボットを制御できる可能性も見込まれている。
ロボットをアシストするオペレーションセンター
オペレーションセンターは、自律ロボットの異常停止などが発生し人の介入が必要となった場合に、HATSサーバーを通じて遠隔でアシストする。障害物で立ち往生した際は、ロボットが認識している通れそうな領域・障害物がある領域の地図を調整したり、自己位置を失った場合は、位置情報を教えるなどのサポートを行う。オペレータ画面の操作はクリックやドラッグで簡単に操作でき、異常時のみの対応となるため、1人で複数のロボットの操作が可能。オペレータには障がい者や途上国の低所得者などを登用し、就労機会の提供にも貢献している。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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