No.518
2021.12.01
環境汚染対策に応用できる軽石の吸着剤
ゼオライト軽石
概要
「ゼオライト軽石」は、軽石の表面に「ゼオライト」と呼ばれる鉱物の結晶をつくらせ、人工的に高い吸着力を持たせた軽石。もともと天然の軽石に多く含まれるゼオライトの成分を人工的に軽石の表面で結晶化させて作られた「ゼオライト軽石」は、髪の毛の20万分の1ほどの小さな穴が多く空いており、イオンや分子サイズの物質も吸着できる特徴がある。軽石特有の水に浮かぶ特性を持ち、吸着性に優れるため、放射性物質の吸着や産業排水の浄化、水質の浄化や赤潮対策への活用などに効果が見込まれる。今後、天然の軽石や海岸に漂着した軽石が、環境汚染対策に応用できると期待されている。
なぜできるのか?
厄介者の軽石に含まれるゼオライトが持つ吸着力に着目
天然の軽石に多く含有されている「ゼオライト」の成分を活用。軽石を水酸化ナトリウムを入れた水で20時間、80度〜100度で沸騰させることで、軽石の表面にゼオライトの成分が結晶化する。こうして作り出された「ゼオライト軽石」には髪の毛の約20万分の1ほどの小さな穴が多数空いており、イオンや分子サイズの物質を吸着する。吸着力に優れ、放射性物質の吸着や、産業排水の浄化、原発汚染水の浄化、赤潮対策への応用などに効果が見込まれている。
軽石の浮力を活用
天然のゼオライトは火山の噴火により噴出した火山灰が海や湖の底に積もり作られた鉱物に含まれるが、噴火で湧き出した軽石にも多く含まれる。軽石の表面にゼオライトの成分を結晶化させた「ゼオライト軽石」は、軽石の浮力によって、従来のゼオライトにはない水に浮く特性を持っているため、水環境浄化や産業排水の浄化など多方面での活用が期待されている。
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