No.584

2022.02.07

貼るだけで5G通信環境を改善できるフィルム

透明フレキシブル電波反射フィルム

透明フレキシブル電波反射フィルム

概要

「透明フレキシブル電波反射フィルム」とは、貼るだけで5G通信環境を改善できるフィルム。5Gおよび6G通信は電波の直進性が高いため、遮蔽された建造物などでは通信品質が低下するという課題があるが、このフィルムを貼ることで基地局や中継機の設置に比べ安価に通信環境を向上できる。また、透明かつあらゆる物の表面に貼り付け可能なことから、外観を損なわずに壁や窓や天井、曲面など様々な場所に貼ることが可能。今後はオフィスや工場、ショッピングモール、医療施設や地下街、鉄道などへの展開に加え、救急や工事現場、キャンプといった一時的・緊急的な用途への対応も含め用途開拓を進めていく。

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透明フレキシブル電波反射フィルム


なぜできるのか?

「メタマテリアル」層で電波を拡散反射

本フィルムには高次電波反射構造を有するメタマテリアル層を用いている。メタマテリアルとは、光の屈折現象を自在に操る人工材料。物体の中に超微細構造を作り込み、通常の物質とは異なる光の屈折を生み出し、その構造によって光(電磁波)を任意の方向に屈折させることができる。

積水化学工業の技術とメタマテリアル技術を融合

積水化学工業は、メタマテリアル構造で透明かつフレキシブルな電波反射板に着目。カナダのメタ・マテリアル社が有するメタマテリアル技術を同社独自のフィルム、光学粘着材技術と融合。全光線透過率95%の「透明フレキシブル電波反射フィルム」を開発した。

実証実験で電波環境を広範囲で改善

積水化学工業では、ドコモ・イノベーションズのシミュレーション技術を用いて企画段階で効果を確認したほか、株式会社ミライトの協創ラボにおける屋内実証実験も実施。基地局から30m離れた地点に反射フィルムを設置し、電波環境を広範囲に改善できることを確認した。

相性のいい産業分野

住宅・不動産・建築

家屋の壁や天井に貼り5G通信環境を向上

官公庁・自治体

学校の体育館などの避難場所に用いて災害時の通信環境の向上に貢献

流通・モビリティ

電車の壁にフィルムを貼り車内の通信環境を改善

農業・林業・水産業

漁船に貼ることで漁に出ていても安定的に電波を受信

旅行・観光

キャンプ中にテントや木に貼ることで一時的に通信環境を向上

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top images:© 積水化学工業 株式会社