No.664
2022.04.01
超音波でVRの触覚フィールドを再現するデバイス
Emerge Wave-1(エマージウェイブワン)
概要
「Emerge Wave-1(エマージウェイブワン)」とは、超音波を使うことでVR空間内の触覚を再現する、メタバース空間での使用を想定したシステム。VR空間内の触覚情報を超音波に変換し、デバイスの上部に空いた無数の穴を通じて空中領域にインタラクティブな触覚フィールドをつくり出す。ユーザーは専用のグローブや装着することなく素手のまま触覚フィードバックを受けることができ、仮想空間におけるリアルな触覚を伴ったコミュニケーションでの活用が期待されている。
妄想プロジェクト 妄想プロジェクト
超満員のダンスフロアが自室に出現する「Emerge DISCO」
音楽イベントやフェスにおける超満員のライブモッシュや大歓声は、新型ウイルスが蔓延した後の世界では久しく見ることができていない「過去の文化」となってしまった。イベントの開催や集客に関しては徐々に緩和がなされているが、気兼ねなく体と体が触れ合ったり至近距離で声を交わし合うようなエモーショナルな空間体験が当たり前になる世の中を取り戻すのは、まだまだかかりそうだ。
一方で、オンラインによる新しいエンターテインメントの創出は目まぐるしい進化を遂げている。超音波で触覚フィールドを創出する「Emerge Wave-1」を利用すれば、擬似的に超満員のライブ空間を自室の部屋につくり出すことができるかもしれない。VRゴーグルで現地のライブ映像に視覚を接続し、壁や床に敷き詰められたEmerge Wave-1でその演奏を見ている観客たちの立体を超音波により再現することで、生身の肌で感じられるライブモッシュを生み出すことが可能となる。遠隔でありながらも他者の存在感や熱量、息づかいを感じられるハプティクス・エンターテインメントとなるだろう。
なぜできるのか?
音響放射圧を空中に送出
「Emerge Wave-1(エマージウェイブワン)」は、超音波により物体を押す力の「音響放射圧」を使用。デバイス上部の無数の穴を通じて、デバイスの上空に超音波を送出する。超音波の圧力を使うため、素手で空気から触覚を得ることができる。
卓上に触覚フィールドを展開
超音波が物を押す力の「音響放射圧」を利用した触覚フィールドを、高さ最大3フィート(約91センチ)、角度は周囲120°まで作り出すことができる。デバイス本体のサイズは10.25インチ×11.75インチと、ノートパソコンと同程度のサイズとなっており、テーブルの上の空間に手軽に触覚的効果を感じる空間を作ることができる。
超音波を介した双方向のコミュニケーション
フィードバックはユーザーが素手で質感を感じるだけでなく、超音波をコントローラー代わりにバーチャル空間内へ操作を還元することができる。また、手から感情表現をセンシングして信号として送るなどのコミュニケーションへと拡張することができる。
相性のいい産業分野
- メディア・コミュニケーション
VRヘッドセットを組み合わせて視覚と連動したリアルな触覚を再現
- 生活・文化
アバター空間における素手の握手など、身体的なコミュニケーション
- 製造業・メーカー
VR空間で商品の質感や形状を触りながら購入できるECサイト
- 医療・福祉
遠隔医療における医師の手の動きをよりリアルにフィードバック
- アート・エンターテインメント
空気の触覚の存在感で楽しめる、目に見えないパブリックアート
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top images:© Emerge