No.688
2022.04.19
背景の対象物を「透明化」するシールド
Invisibility Shield
概要
「Invisibility Shield」とは、光の屈折を利用して光の向きを変え、シールド背景の物体や人を見えにくくするシールド。特殊な形にシートに配列した凸レンズで、シールドの向こう側にある物体から発せられる光の向きを変え、見る側に届きにくくし、シールド背後の人やオブジェクトを相手から見えないようにする。従来も同様の効果を持つ技術は開発されていたが、複数のレンズシートをつないで継ぎ目が目立つなどの難があった。Invisibility Shieldは、一枚のシールドから製作されており、シールドの向こうで動いても目立ちにくいなど自然な効果を発揮する。アミューズメントやセキュリティなど多様な分野での応用が期待される。
なぜできるのか?
後ろの物体を見えなくする特殊なレンズ配置
シールドは、ポリマーをエンボス加工した上で、凸レンズを平行に並べたシート構造になっている。Invisibility Shieldの向こう側にある対象から見る側に伝わる光の多くが、シールドを経由すると左右に屈折するようにレンズが配置されている。対象が光の屈折で、見る側からは見えなくなるのに対し、対象の背後にある風景からシールドに入る光は、対象に比べて広い範囲にわたっているため、レンズを通して屈折する範囲も広くなり、Invisibility Shieldを経由してもそのまま見る側に伝わる。その結果、対象は見えず、対象の背景のみが見えるかのように錯覚する仕組みだ。こうした効果には、見る角度によって見える映像が変わるレンチキュラーレンズと呼ばれる光学現象の仕組みが応用されている。
継ぎ目なしで人が隠れるのに十分な大きさ
これまでにも類似のシールドが開発されてきたが、それらはレンチキュラーレンズのパネルを接ぎ合わせるなど境界線が見えてしまう不完全なものであった。しかし、Invisibility Shieldは接ぎ合わせずに一枚のまま製造されている。大きさは21×31cm(small)と65×95cm(full size)の2種類。複数枚組み合わせれば、大きな対象を隠すにも十分なサイズになる。仕組みはレンズの屈折であるため、電源も必要なく、シールドのみで自立する。
リサイクル可能で安全な素材
Invisibility Shieldに使われている素材は、耐紫外線や耐温度性、耐久性に優れており、標識や船舶用に一般的に使用されている素材を使用。100%リサイクルでき、有害樹脂も使っていないため、安全性にも優れている。
相性のいい産業分野
- 生活・文化
立体状にシールドを組んで周囲と同化するセキュリティー対策
- アート・エンターテインメント
複雑なトリックなしで物を隠すことのできるマジック商材
- 旅行・観光
隣の人を気にせずに相部屋で過ごせる、外からは見えないユースホステル
- メディア・コミュニケーション
初対面で容姿を見せるのが恥ずかしい人向けの「透明なお相手」同士の街コン
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © Invisibility Shield Co