No.699

2022.04.26

ゴムの特性を合わせ持つ金属素材

金属ゴム

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概要

「金属ゴム™」とは、金属の持つ耐熱性を維持したまま、表面にゴムの特性を付与した新素材。三菱マテリアルの技術力と、生物模倣技術(バイオメティクス)を活用し金属表面に施した微細形状によって、金属材料でありながらゴムと同等の柔軟性や接着性を有している。これにより、これまで耐熱性や、残渣による汚染など耐汚染性の観点からゴムの使用が困難とされてきた高温領域においても、金属部材にゴムのような性質を付与し使用することが可能。サンプルを配布し、航空宇宙や半導体、医療などの分野で用途開発を進められるなど、2023年度の製品化を目指し検証が進んでいる。

金属ゴム

金属ゴム

金属ゴム™3

金属ゴム™4

金属ゴム™2

なぜできるのか?

ヤモリから着想を得た微細構造

ヤモリは、足裏に60万本と言われる微細な剛毛が、接触面に対して分子間の引力(ファンデルワールス力)を発現することで接着と剥離を繰り返し、垂直な壁を素早く登る。「金属ゴム™」はこの微細な繊維質に着想を得て、金属に表面高機能化技術を応用し、金属表面に同様の微細形状構造を施している。

三菱マテリアルの高い加工技術力

同社では、近年増加する立体的で微細な3次元形状部品のニーズに対応するため、エッチングやレーザーなどによる微細形状技術を活かし、加工工具、薄膜形成剤などの製品展開を行なってきた。「金属ゴム™」の製造にはこうした技術力が不可欠であり、電子顕微鏡によるナノレベルの構造分析や、金属への特殊な成膜・加工によって、微細な構造を得ることに成功した。

素材ごとのトレードオフを解決

「金属ゴム™」は、柔軟性は表面の微細形状で、耐熱性は素材となる金属自体で、というようにそれぞれ機能分離した因子を用いている。これにより、材料の選択により生じる耐熱性と柔軟性のトレードオフに苦慮する必要がなく、耐熱の融点は選択する金属に順じ、また柔軟性は表面微細形状でコントロールすることができる。

相性のいい産業分野

食品・飲料

金属ゴムでグリップ性を高めた調理用品

製造業・メーカー

表面に金属ゴムを使用した耐熱性グローブ

流通・モビリティ

自動車半導体生産などで使用する耐熱性と密閉性を兼ね備えた製造部品

航空・宇宙

高い摩擦熱にも耐えられる金属ゴムタイヤ

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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