No.728

2022.06.09

精度97.8%の、"息"を活用した生体認証技術

呼気センシングによる個人認証

01

概要

「呼気センシングによる個人認証」とは、“息”を活用した個人識別システム。個人ごとに異なる呼気の成分パターンを分析することで、平均識別精度97.8%という高精度の個人認証を実現する。顔や指紋、虹彩などを利用した従来の生体認証はパスワード認証よりもセキュリテイ強度が高いことが知られているが、外傷などにより認証の精度が落ちたり、情報が偽造・窃取された際に長期的ななりすましが発生したりするリスクがあった。一方「呼気センシングによる個人認証」は、外傷による影響が起こりにくく、呼気は認証後に霧散するため、窃取による長期的ななりすましも防止できる。高セキュリティな生体認証技術の実現につながることから、実用化に向けた実験が進められている。

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なぜできるのか?

分子濃度が高い「呼気」への着目

生体ガス(人間が生命活動で産生するガス)を用いた生体認証技術として、従来、体表面から放散される皮膚ガスが研究されてきた。しかし、皮膚ガスに含まれる分子群の濃度が低く利用可能な分子の種類が限定的なため、利用には限界があった。一方、「呼気センシングによる個人認証」では、皮膚ガスに比べ分子群の濃度が3桁程高い呼気ガスを利用することで、より精度の高い認証技術が実現できた。

多様な分子を検出する人工嗅覚センサー

「呼気センシングによる個人認証」の実証実験では、16種類の高分子材料と導電性カーボンナノ粒子の混合物で構成された人工嗅覚センサーを使用。分子の検出のしやすさは高分子材料と標的分子の親和性により決定され、異なる性質の高分子材料を基盤に配置することで、多種多様な分子群を検出できる。

高い識別精度を実証

研究チームは、年齢・国籍・性別の異なる空腹状態の6名を対象に実証実験を実施。原理実証では、取得したセンシングデータにニューラルネットワークモデルに基づく機械学習を適用して行われた。その結果、平均97.8%の高精度で個人の識別に成功。また、この識別精度は、別の日に呼気をサンプリングした場合や、対象人数を20名に増やした場合でも同様に達成された。

センサーの増加に伴い識別精度が上昇

実証実験では、センサー数を増やすと識別精度や再現性が上がる傾向も確認。センサーのチャンネル数を増やすことで、より高セキュリティの生体認証を実現できる可能性が示された。

相性のいい産業分野

製造業・メーカー

スマートフォンに搭載し簡単かつ高セキュリティな認証を実現

住宅・不動産・建築

外傷などの要因に左右されない呼気を活用したドアロックシステム

流通・モビリティ

運転手の呼気が"鍵"となり動く自動車

航空・宇宙

呼気を利用した高精度な出入国管理システム

官公庁・自治体

呼気の成分パターンを個人番号として活用し個人を識別

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top images:© 東京大学大学院 工学系研究科

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