No.752

2022.09.01

海水を栄養源として食物を育てる海上ファーム

Green Ocean(グリーンオーシャン)

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概要

「Green Ocean(グリーンオーシャン)」とは、海水を直接の栄養源として栽培できる海水農業技術と、海水農業を成立させる循環型の環境を作り出すフローティング建築技術を組み合わせた海上ファーム。「Green Ocean」を沿岸部に浮かべることで海の上下空間に二つのグリーンを生み出し、海上では塩性農業技術を活用した食糧生産を、海面下では藻類等を栽培することで海中環境改善を行うことができる。気候変動時代に地上での生活が脅かされる中、近代建築が最も苦手としていた“海”に適応していく建築プロトタイプとして、海面上昇や水害塩害問題の解決に貢献することが期待されている。

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なぜできるのか?

耐塩建築技術

「Green Ocean」の建材は間伐材を使用し、木材ジョイントは耐塩性を考慮したカーボンジョイントを採用予定。浮体設備には特殊塗膜による浮力の増加を想定しており、特徴的な屋根の形状は雨水を効率的に取り込む。雨水と海水を混ぜ合わせる事でph調整と稀釈率調整を行い、塩性農業の肥料となる。室内温度は、気温が安定している冷たい海水を利用し、ファーム内の空調として利用する循環的なシステム環境する事で、「Green Ocean」は”地球の絆創膏“の様な役割を持つ。

海水農業の基礎技術「モイスカルチャー」

海水農業技術を研究開発するパートナースタートアップ・カルティベラの基礎技術「モイスカルチャー」を応用しており、5mm程の特殊繊維で自然の土壌の表層約15cmを再現することができる。この特殊繊維は水を気化させ、植物に水分枯渇ストレスをかけながら育てることができ、これにより糖度やビタミンが強化された野菜を栽培することができる。また、モイスカルチャーで使用する水は従来の灌漑農法の10分の1で済み、水が豊富でない土地でも応用可能である。

雨と海水による、機能性野菜の栽培

アルカリ性の海水と酸性の雨水を混ぜ合わせ中和し、品種に合わせて多様な種類の根を育成することで地中と空中の水分と養分が吸収出来るように特殊な栽培を行う。その結果、海水に含まれるミネラルと栄養素を活用できる機能性野菜に成長する。

海中環境改善

植物プランクトンや海藻の光合成による基礎生産は浅い海(干潟・磯・浜)で生態系を循環させているが、環境悪化によりこの基礎生産量が減少し、漁業にも影響を与えている。「Green Ocean」の海面下では藻類などを栽培し、海中環境改善をしていくことが構想されている。

相性のいい産業分野

農業・林業・水産業

気候変動や海面上昇にも対応する新たな農法の確立

環境・エネルギー

ファームの建屋下で植物プランクトンの増殖を促し海洋環境を活性化

食品・飲料

従来は育てられなかった野菜や果物を海辺で育てることによる特産化

住宅・不動産・建築

海上で農業をしながら人も住むことができる海上住宅への応用

官公庁・自治体

塩害被害地域の建築や農場への導入

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top images:© 株式会社 N-ARK

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