No.765

2022.10.05

海に浮かびながら回る垂直型の風車

浮体軸型風車/FAWT

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概要

「浮体軸型風車/FAWT(Floating Axis Wind Turbine)」とは、浅瀬や海底など、基礎を置けない場所にも設置できる低コストな垂直軸型風車。海水を風車の軸受けとする構造で、風車の下にある円筒が回転し風車を支える。近年、SDGsや気候変動の観点から洋上風力発電の重要性が世界的に高まっているが、陸上風車は国内の設置可能地域に限界があるほか、大型で高コストの浮体が必要となる。一方、「FAWT」は、大規模な浮体が不要なため、クレーンを使わずに組立・海上設置でき、設備費用を半分近くに削減可能。洋上風力発電の主電源化を実現する知財として期待されている。

FAWT animation 2022 06

なぜできるのか?

風車の傾斜を考慮に入れた設計

「FAWT」は、従来の水平軸型風車とは異なり、傾斜しても急激な性能低下を引き起こさないため、最大出力時に20度傾くことが可能。これにより、強風下でも直立不動を維持する大型な浮体が不要になった。

従来型の風車と同等以上の性能

「FAWT」は、風車直径10m以上のスケールであれば、従来型(水平軸型)風車と同等以上の性能を発揮できる。

連続引き抜き成型による低コスト生産

風車部分は、カーボン複合材料の連続引き抜き成型が可能なため、低コストで製造できる。また、発電機も含めて100%国内調達が見込める。

メンテナンス費用の削減

高所での保守作業が必要な従来の洋上風力発電では、天候による安全性の観点から作業日程が不確実になりがちで、メンテナンス費用の増大につながっていた。一方、「FAWT」は発電機類を低い位置に搭載できるため、保守費用を削減できる。

相性のいい産業分野

環境・エネルギー

近海の自然環境を壊すことのない高効率な洋上発電

住宅・不動産・建築

浮体軸型風車を利用した海上建築のインフラ構築

流通・モビリティ

「浮体軸型風車」で発電した電力で進む漁船

旅行・観光

夜間は風車が一斉にライトアップする観光スポット

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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