No. 061 新時代のアート流通・評価のインフラ

Art Blockchain Network

アート・ブロックチェーン・ネットワーク(Art Blockchain Network;ABN)は、ブロックチェーン上でアート作品の所有権証明・来歴記録、二次流通管理などをグローバルに行える、アート業界のインフラストラクチャー。従来の出典・来歴の管理システムでは、信頼性担保・価値証明・著作権管理などが困難であったが、ABNは、 一度ブロックチェーン上に載せてしまうと契約内容を変更するのが難しくなる問題を解決し、統合的なデータベースを作れるようにする。将来的には、アーティストとステークホルダー(アートの梱包や輸送、設営に携わる人など)とのマッチングを促すことが期待される。

なにがすごいのか?

  • アートへブロックチェーン技術を応用する試み
  • 作品の公開・流通に関するルールの設定
  • 還元金を受け取ることが可能
  • 合意形成に基づく情報の更新

なぜ生まれたのか?

従来依存していた紙の証明書では、偽造や改ざんが容易で、統一的な規格や管理手法も確立されていなかった。これにより、作品取引における贋作の混入が発生する事態を生んでいた。一方で、近年のブロックチェーン技術の発達により、仮想空間における無形物の管理が可能となった。新規コレクターの開拓や金融事業者の参入促進などを通じてマーケットの活性化に貢献することはもちろん、美術館に代表される公的機関にとっても収蔵作品の選定や貸借への利用が期待出来る。

妄想プロジェクト

船上ミーティングルーム

たまには船に揺られながら、移動する空間でクリエイティブな企画会議を――。一見大掛かりで投資額も大きい船上ミーティングルームの運営も、この「Art Blockchain Network」技術を応用すれば一気に現実味が高まる。ミーティング船をブロックチェーン上で共同所有することで、オーナーらが時間貸しや譲渡することが可能となり、シェアスペースのように運営が可能なのだ。船上で生まれるアイディアは、きっと会議室のそれよりも良いものになるに違いない。

実現プロジェクト

n次流通プロジェクト

あるコンテンツを元に別の新たなコンテンツを創作する「n次創作」によって一次創作の流通時を超えた新規ユーザーの呼び込みがなされ、ユーザー層の拡大に貢献するケースが増えている。従来、著作権が認められるのは原著作者(一次創作にかかる権利)のみで、n次創作に関する権利は認められていないばかりか、現状の著作権や流通システムでは新規ユーザー層の拡大を正しく評価する仕組みが整備されていないために、n次流通が経済活動に組み込まれることはなかった。

本プロジェクトは、ニュース、漫画、アニメといったコンテンツのマネタイズに関する共同研究プロジェクトであり、原著作者とn次創作者の双方が受け取るインセンティブについてブロックチェーン技術を活用した設計を行うことで、コンテンツの新しいマネタイズ可能性を検討する。電通国際情報サービス、VOYAGE GROUP、シビラ、角川アスキー総合研究所、朝日新聞社、スタートバーンとが共同で実施する。

なぜできるのか?

サービスをまたいだ来歴管理や還元金の徴収

還元金や証明書の情報はブロックチェーンに記録し、かつブロックチェーンネットワークを通じて外部サービスとも連携できる。参加機関が独自の作品証明書発行サービスを立ち上げたり、既存のプロダクトをアップデートできる環境を用意。

公開/非公開の情報管理の仕組みを整備

共有すべき「作品タイトルやサイズ、制作年度、作者情報、来歴情報」といったデータをブロックチェーン上でオープンとし、個人情報や販売管理者のための管理情報など、共有したくない情報については自社で管理できる。

実物とオンラインの相互運用性

NFCカードを用いた実物とオンラインの紐づけによって、異なるブロックチェーンや台帳により管理されている価値記録媒体が各々のネットワークを超えて相互に交換できる。

相性のいい分野

学術
研究論文や学会発表などの初出記録や引用/被引用元のエビデンス
アート
作品の証明書発行や来歴・売買履歴や規約の管理

知財情報

主な知財ホルダー:Startbahn株式会社

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

小髙 充弘 Mitsuhiro Odaka
Media Artist / Konel Inc.

1991年生、神戸出身。学士(医学,理学)。広義の「感染」に関するメディアアート制作を行う。病原体、行動、モラル等が、複雑に跨ぎ合うつながり構造の上を拡散・極性化する現象に関心がある。その関心の下で、データによる予測可能性を超えた逸脱的な意味付けの内部に人間が人間たる規定要因を探したり、疎外された逸脱主体と他との交流の回復がありうるのか探ったりしている。