No. 089 小型軽量、安全、大容量を備えた理想的な充電池

リチウムイオン二次電池(LIB)

リチウムイオン二次電池(LIB:Lithium-ion Battery)は、世界中に普及するスマートフォンやノートPC、デジタルカメラといったあらゆる携帯機器のエネルギー供給源の一つ。充電すれば再び使用可能な二次電池の中でも、従来抱えていた電池容量の低さ、不安定性や危険性といった問題を克服し、安心・安全な電池として実用化された。LIBは電気自動車などにも採用され、将来的には化石燃料に頼らない社会の実現に大きく寄与することが期待されている。

なにがすごいのか?

  • 繰り返し充電可能かつ軽量で、重量あたりのエネルギー量が大きい
  • 様々な携帯機器の軽量化、スマートフォンやノートPCや普及の立役者
  • 現代の社会基盤を支える貢献度と影響力からノーベル化学賞を受賞

なぜ生まれたのか?

1983年に完成したリチウムイオン二次電池のプロトタイプは、ポリアセチレン比重の低さゆえに電池容量を高くできず、電極材料として不安定である問題があった。この問題点を受けて、旭化成工業(現:旭化成株式会社)の吉野彰氏らが「負極に炭素材料を、正極にコバルト酸リチウム(LiCoO2)を適用した全く新しい二次電池」を開発した。加えて、アルミ箔を正極集電体に用いる技術、安全性を確保するための機能性セパレータなどの本質的な電池の構成要素に関する技術を確立、さらに安全素子技術、保護回路・充放電技術、電極構造・電池構造等の技術を開発した。これにより、安全かつ電圧が金属リチウム二次電池に近い電池の実用化を成功させ、現在のLIBの構成をほぼ完成させた。

基本構造完成の後、1991年にソニー・エナジー・テック(現:ソニーエナジー・デバイス株式会社)、1992年以降には旭化成(株)と東芝(株)の合弁会社によりLIBの商業化が進んだ。モバイル社会となった現在、スマートフォン、電気自動車、家庭用蓄電システムなどに使用されており、今後も交通機関や宇宙開発などでの用途拡大が期待されている。2019年にはリチウムイオン二次電池の研究開発を支えた吉野氏、スタンリー・ウィッティンガム氏、ジョン・グッドイナフ氏の3名がノーベル化学賞を共同受賞し、話題となった。

なぜできるのか?

高い安全性

電池内部でリチウムイオンが電解液を介して正極~負極間を行き来することで充放電が行われる。正極には、リチウム(Li)・マンガン(Mn)・コバルト(Co)・ニッケル(Ni)などの金属酸化物(LiCoO2)やリン酸鉄系の材料(LiFePO4)が使われ、負極には、炭素系材料や合金系の材料が使われる。正極自体がリチウムを含むために負極にリチウムを用いる必要がなく、負極の炭素材料がリチウムを吸蔵するため、結果的にリチウムは電池中に存在しない。これにより安全性を高めている。

小型軽量かつ高容量

ニッケル水素電池、ニカド電池、鉛電池といった他の二次電池に比べてエネルギー密度が高いため、小型で軽量のバッテリーを作ることが可能。4V級の高電位により高容量・大きな出力パワーが得られる。

相性のいい分野

交通
電気自動車エンジンや次世代新幹線など、交通機関の動力源
モバイル
スマートフォンやノートPCやといった民生用電子デバイスの高性能化
通信
鉛蓄電池やNAS電池に取って代わることで、通信用中継基地局やデータセンターでの活用
宇宙
地上に比べ、高信頼・長寿命の設計が必要となる宇宙空間での高エネルギー密度化
再生可能エネルギー
化石燃料や原子力に依存しないクリーンな発電

知財情報

主な知財ホルダー:旭化成株式会社、吉野彰、John Goodenough、Stanley Whittinghamほか

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

Konel
/ Konel inc.

Konelはデザインとテクノロジーを融合させてフィールドを定めず制作を行う多国籍クリエイティブカンパニーです。


知財ライティング: 小髙充弘