No. 118 宇宙ロケットから安全に脱出するセーフティネット

SuperDraco(スーパー・ドラコ)

Credit: Mack Crawford/NASASpaceflight

スーパー・ドラコは、SpaceX社が開発・製造する液体燃料ロケットエンジン。打ち上げロケットの上段に装備されるスラスター(主推進以外の姿勢制御や軌道の微修正を行う機関)となり、打ち上げ時にロケットにトラブルが発生した際、このスラスターを噴射することで打ち上げ脱出システムとして機能する。従来の有人宇宙船の多くにも脱出用ロケットは装備されていたが、宇宙船とは別の部品として打ち上げ時のみ先端に取り付け、不要になれば分離する形を採用しており、本知財のように宇宙船に組み込まれた形式のものが実用化されたことはない。将来的には、逆噴射による動力着陸に用いられる予定もある。

なにがすごいのか?

  • 宇宙船に組み込まれた形式での安全な空中脱出システム
  • ロケット打ち上げ前に安全にミッションを中止できることを実証
  • 保存が容易な燃料を使用しているため、打ち上げから数か月後でもエンジンの再点火が可能

なぜ生まれたのか?

有人ロケットの打ち上げにおいて、点火することで不具合が生じた際、宇宙飛行士の安全を確保することは重要な課題とされてきた。SpaceX社は、宇宙飛行士を安全に国際宇宙ステーションや宇宙圏へ送り届けるための商用サービスを促進すべく、安全な打ち上げ脱出システムの開発に取り組んできた。2020年1月20日には、空中脱出のテストを無事に通過し、今後、有人ロケットの重要なロケットエンジンとなる期待が高まっている。

なぜできるのか?

「上から引っ張る」から「下から持ち上げる」へ

従来使われていた頂部に装備した固体ロケットで引っ張り上げる牽引式ではなく、宇宙機の下側に装備した液体ロケットで押し上げる方式を採用。通常は投棄されることになる未使用の推進剤を軌道上での推進などに使うことができる。

安定性の高い姿勢制御・推進機関

推進剤に保存が容易なモノメチルヒドラジンと四酸化二窒素を使用しているため、打ち上げから数か月を経た後でも、エンジンの再点火が可能。これにより、宇宙船の安定性の高い姿勢制御・推進機関として機能する。

相性のいい分野

宇宙
軌道上での推進や、逆噴射による動力着陸

知財情報

主な知財ホルダー:Space Exploration Technologies Corp. (SpaceX)

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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知財ハンター

小髙 充弘 Mitsuhiro Odaka
Media Artist / Konel Inc.

1991年生、神戸出身。学士(医学,理学)。広義の「感染」に関するメディアアート制作を行う。病原体、行動、モラル等が、複雑に跨ぎ合うつながり構造の上を拡散・極性化する現象に関心がある。その関心の下で、データによる予測可能性を超えた逸脱的な意味付けの内部に人間が人間たる規定要因を探したり、疎外された逸脱主体と他との交流の回復がありうるのか探ったりしている。