No. 121 地球上で最も軽くて断熱性能の高い固体素材

SUFA(スーファ)

SUFA(=Super Functional Air)は、90%以上が空気で構成され、軽量性と高い断熱性能を兼ね備えたエアロゲル素材である。ティエムファクトリ社により開発されたSUFAは、従来の断熱材(グラスウール)の約3倍の断熱性能を持っているほか、限りなく透明に近く、ガラスに挟んで使えば高い断熱性を持つ窓ガラスを作成することが可能である。また、あらかじめ疎水性(=撥水性)を持っているため、水分による劣化が起きないことも大きな特徴で、CO2削減や宇宙開発など幅広い分野での応用が期待されている。

なにがすごいのか?

  • 透明性が高く、高性能の断熱性
  • 地球上で最軽量の固体
  • 撥水性を持つため水分劣化が起きない

なぜ生まれたのか?

1931年、S. S. Kisterにより発明されたエアロゲルは、「ゲル骨格を保ったまま内部の液体を気体に置き換えられるか」という学問的な課題から生まれた構造体である。「空気を固体にしたもの」「凍った煙」などと称されるように、エアロゲルはその90%以上が空気でできており、1990年代にNASAが宇宙用途で実用化に成功したものの、製造には特殊な装置を必要とし、低コスト化が難しいことが課題であった。

ティエムファクトリ社は京都大学との共同研究の結果、現実的なコストで板状エアロゲルを生産できる技術を発明することに成功し、これをSUFA(=Super Functional Air)と名付けた。板状のモノリスタイプでなければ透明性を維持することが難しいため、SUFAの量産化に成功すれば、世界初の透明断熱材サプライヤーとなる。

なぜできるのか?

常圧で製造可能

エアロゲルは、一般的に、超臨界乾燥装置という特殊な装置を用いて、気体や液体に臨界点を超える高い温度・圧力をかけ、両方の性質を持たせた状態のものから液体を気体に置換させることで作られる。一方で、SUFAは、超臨界ではなく常圧で乾かして作ることが可能である。

疎水性(=撥水性)を有する

従来のエアロゲル製品は疎水性が無いため、そのままでは吸水により断熱性能が著しく低下してしまう。これを防ぐためには表面の疎水化処理が必要だが、処理したとしても、クラックが入った場合にはそこから水分を吸収してしまうため、結局完全に水を防ぐことはできない。SUFAは材料自体が疎水性を持っており、水分による劣化が起きないとされる。

相性のいい分野

建築
超高断熱軽量ガラスとして世界中の窓ガラスをリプレイス
農業
耐熱性を活かした、省エネ農業用ハウス
宇宙
火星でのテラフォーミングなどで表面温度を高め、人が住める環境の構築
SDGs
適切な「熱マネジメント」を行うことでのエネルギー消費量の低減
アート
軽量性や屈折率の低さといったユニークな特性を活かしたアート表現

知財情報

主な知財ホルダー:ティエムファクトリ株式会社

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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知財ハンター

Ryo Arai
荒井 亮 Ryo Arai
Producer / Konel Inc.

1977年東京都荒川区生まれ。立教大学社会学部産業関係学科卒。クリエイティブ会社にてライブ配信事業のプロデューサーとして番組の企画制作、各種アライアンスやチームビルディングを担当。その後、Konelに所属し「日本橋地下実験場」を中心としたプロジェクトに関わる。聴覚を拡張するプロダクト『PlayEar』の開発や、インターネット世代のポップカルチャー、メディアアート、ペットテック領域に関心がある。


知財ライティング: 松崎 啓