No. 129 温故知新、陶磁器のIoT化

陶磁器を電子回路化する技術

この知財は、素材表面を金で装飾する金彩という伝統技法を用いて、陶磁器を電子回路化する技術である。本来、金彩は華やかさを与える目的で使われる技法であるが、金の導電性に着目し電子回路に見立てることで陶磁器のIoT化を実現。この技術を応用した陶磁器「電-磁器」は、触ると反応するタッチセンサーや楽器などのインタラクティブデバイスとして、伝統工芸品の可能性を広げることが期待されている。

なにがすごいのか?

  • 陶磁器を用いる様々な文化・行為をデジタル化
  • 加工技術であるため陶磁器の原料や形状に依存しない
  • 審美性を損なわず、後天的に機能性を持たせることが可能
  • 電子回路として多様なインターフェースに対応
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なぜ生まれたのか?

開発者であるFANCY FUTURE Instruments ltd.は、ユニークなオーディオの製造・販売を行なっており、陶磁器の楽器としての可能性を模索する中で考案されたのが原点。当初は、補修技法「金継」を電子回路化するプロジェクトを進めていたが、破損の具合によって回路のパターンが変わってしまうことから装飾技法「金彩」を用いる今の手法にたどりついた。電子回路としての汎用性の高さから、楽器以外のデジタル製品への応用も見据えている。

実現プロジェクト

電 – 磁器

「電 – 磁器」は、金装飾を施した陶磁器に電流を流すことで電子回路化したインタラクティブデバイス。これまで伝統的な装飾技法である金彩は、主に陶磁器に華やかさを与える装飾の目的で用いられてきたが、金の通電性に着目し電子回路と見立てることで陶磁器のIoT化を実現した。触れると反応するタッチセンサーや楽器として多方面で応用されている。

画像は「チャタク & 電磁茶器・急須」。金の線1本1本が​センサーになっており、人体が触れると内蔵スピーカーから電子音を鳴らす。この時、人の手は「コンデンサー」という電子回路の一部としての役割を果たしている。

なぜできるのか?

金の導電性

陶磁器に装飾する金は、銀、銅に次いで優れた導電性を持ち、電流を流すことで電子回路化することができる。また、金は電子機器内の半導体部にも使用されており、クリアかつ高速に電気信号を伝えることを可能にする。

700℃での焼成

高音で焼成された金は、メッキの様になり、日常の食器洗いなどでも落ちない耐久性を持つ。そのため経年劣化の心配が少なく、長く品質を保つことができる。

機能性とデザイン性の二刀流

元来から装飾として用いられてきた金を原料とするため、デザイン性を妥協することなく、電子回路としての機能性を持たせることができる。

 

相性のいい分野

音楽
陶磁器を使ったDJプレイなど、装飾部を触ると音を生成する楽器
コミュニケーション
「食べる・飲む」といった陶器にまつわる日常の行為を介したコミュニケーションツール
ヘルスケア
日常的な陶磁器の利用をサインにした、離れて住む家族の見守り

知財情報

主な知財ホルダー:キンミライガッキ/FANCY Future Instruments ltd.

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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知財ハンター

Mitsuyo Demura
出村 光世 Mitsuyo Demura
Producer / Konel Inc.

1985年石川県金沢市生まれ。早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。アート/プロダクト/マーケティングなど領域に縛られずにさまざまなプロジェクトを推進。プロトタイピングに特化した「日本橋地下実験場」を拠点に制作活動を行い、国内外のエキシビションにて作品を発表している。自然現象とバイオテクノロジーに高い関心がある。


知財ライティング: 松崎 啓