No. 143 紙より薄い有機EL

iOLEDフィルム光源

この知財は、厚さ0.07mmの超薄型有機ELデバイス(iOLED)である。株式会社日本触媒とNHKの共同で開発されたこの光源は、長年の課題であった大気中の酸素や水分による素子の劣化を克服しながら、曲面に自由にフィットする超薄型の光源であるという高い柔軟性を実現している。用途に応じて、発光面のサイズ、発光形状、発光色等のカスタマイズが可能で、ウェアラブルセンサーやエンターテインメントなどの分野で活用が期待されている。

なにがすごいのか?

  • 厚さ0.07mmの超薄型光源
  • 従来の有機ELデバイスにないフレキシブル性
  • 酸素や水に強い有機ELデバイス

なぜ生まれたのか?

従来の有機ELデバイスでは、フィルム素材を用いるシート型ディスプレイにおいて、水分や酸素が存在する大気での安定性が低いことが課題であった。iOLEDはこれを改善するために開発され、現在ではさらなる長寿命化に向けた研究が進められている。

実現プロジェクト

余光(よこう)

「余光(よこう)」は株式会社日本触媒と輪島キリモトのコラボレーションから生まれた光る輪島塗。表面を薄くくり抜いた器に貝殻薄片とiOLEDフィルム光源をはめ込み、さらに表面に漆を一層塗ることで制作された。日本古来の伝統工芸技術である「螺鈿(らでん)※」と、紙より薄いフィルム光源を掛け合わせることで他に類のない「光る輪島塗」の開発が実現した。

※青貝の殻の内側の、真珠色の光を放つ部分を薄く種々の形に切って、漆器などの表面にはめこんで装飾とした物

なぜできるのか?

安定性の高い材料

大気中の酸素や水分の影響を受けにくい電子注入層、劣化しにくい陰極など安定性の高い材料を使用。

逆構造

陰極と陽極を入れ替えた逆構造をとることで、上記材料の導入を可能にし、高い安定性を実現した。

相性のいい分野

宇宙
軽量で柔軟性が高いことを活かし、宇宙空間を照らす光として活用
交通
道路標識やラバーポールへ導入することで視認性が高くなり事故を防止
医療
薄さを活かして血管内部に導入し、健康状態をモニタリング
ヘルスケア
肌に貼り付くことで健康状態を示すウェアラブルディスプレイ
エンターテインメント
空をスクリーンに見立て、映画を見るための浮遊型ディスプレイ
アート
薄さ、軽さ、柔軟性を活かしてアート表現を拡張

知財情報

主な知財ホルダー:株式会社日本触媒

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

松﨑 啓 Hiraku Matsuzaki
Assistant Producer / Konel Inc.

1994年熊本生まれ。修士(工学)。大学院在学中に留学したテキサス大学オースティン校ではPRを学んだ他、現地の半導体メーカーにてリサーチャーとしてインターンシップを経験。メディア表現領域に関心を持っている。