No. 162 液体のようにふるまう砂のインターフェース

Fluidized Bed Interface(流動床インターフェース)

流動床りゅうどうしょうインターフェースは、流動床と呼ばれる物理現象を転用した「砂の海」インターフェース。容器に入った砂に対して上向きに空気が噴出されると、砂の重力と、持ち上げようとする空気の外力が拮抗し、砂が浮遊し全体が均一な流体のように動く。油圧シリンダーやモーターを使う大掛かりなシミュレータでは再現が難しかった、川下りのボートのような動きや浮遊感を可能にする。将来的には、エンターテインメントや医療などの多様な分野への応用が期待されている。

なにがすごいのか?

  • 固体と液体の流動性を自由に行き来するインターフェース
  • エンターテインメントやスポーツ、医療など豊富な応用可能性
  • 工業分野において利用される物理現象を転用するという発想の転換

なぜ生まれたのか?

空気を送り込まれた砂が液状の挙動を示す「流動床」と呼ばれる物理現象は、各種工業に幅広く応用されてきた。たとえば、流動床型焼却炉は、液状の砂にゴミを投入し焼却させるもので、燃焼効率が良いことが知られている。本知財の開発者の一人である的場やすし氏は、この流動床型焼却炉の原理をヒントに、2016年4月より流動床のエンターテインメントへの転用を試み、様々な場面で発表を行ってきた。

参考:インタラクションシステムのデモを行う的場氏。砂はまるで液体のように滑らかに振る舞う。

実現プロジェクト

なめらカヌ~

「なめらカヌ~」は「SUMMER SONIC 2017」にてパピコ(江崎グリコ株式会社)ブースにおいて出展された、「パピコのなめらかな食感を体験できる」アトラクション。体験者は流動床インターフェースに浮かべられたパピコ型ボートに乗って、砂に浮かんだボールをゴールに向かってシュートし、ゴール数に応じた景品獲得を目指す。カヌーが転覆したとき水上では溺れてしまうカナヅチの方も心配ご無用。なめらカヌ~では砂の流動化が自由自在にコントロールできるため、気づいた時には投げ出された身体が固まった砂に捉われ、事無きを得ていることだろう。

なぜできるのか?

粉粒体の浮遊懸濁化

パイプから送られる空気で砂粒(粉粒体)が上へと上昇する力と、重力で砂粒が下に落ちようとする力が均等な状態(ドライヤーからの風を受けて宙に浮くピンポン球のような状態)になることで、砂粒が自由に浮遊できる。

インタラクションシステム

水槽の底には太さ48mmの塩化ビニルパイプが7本、横向きに設置され、それぞれのパイプには直径1.2mmの穴が7個開いている。ここにエアコンプレッサーまたは業務用掃除機を改造した送風機を使って、最大圧力0.7メガパスカルの空気を送り込み、砂を流動化させる。流動性は空気圧によって変化するため、コントロールは自由自在。

相性のいい分野

エンターテインメント
砂面へのプロジェクションと組み合わせたボート体験VR、VR砂浴装置
エンターテインメント
流動化した瞬間に砂に埋めたアイテムが浮かび上がる宝探しゲーム
エンターテインメント
ダンスやパフォーミング・アーツの舞台演出装置
ヘルスケア
流動化の強度を調節、足踏みして徐々に上へ抜け出す有酸素トレーニング
ヘルスケア
流動床ベッドで定期的に仰臥位の患者の位置や姿勢を調節し、褥瘡予防
災害
ARと流動床による、水害時のリアル液状化通路歩行訓練

知財情報

主な知財ホルダー:的場やすし、菅谷諭

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

出村 光世 Mitsuyo Demura
Producer / Konel Inc.

1985年石川県金沢市生まれ。早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。アート/プロダクト/マーケティングなど領域に縛られずにさまざまなプロジェクトを推進。プロトタイピングに特化した「日本橋地下実験場」を拠点に制作活動を行い、国内外のエキシビションにて作品を発表している。自然現象とバイオテクノロジーに高い関心がある。


知財ライティング: 小髙 充弘