No. 167 頬から全身の健康状態を計測できるモニタリングアプリ

Binah(ビナー)

Binah(ビナー)は非接触型のヘルス&ウェルネスモニタリングアプリ。頬上部の肌の状態から、バイタルサインやストレスレベルといった全身に関する健康指標を知ることができる。スマートフォンなどのデバイスカメラから得られる映像データを利用するため、従来の計測機器における装着の手間を不要とする。将来的には、遠隔医療や職場でのウェルネスモニタリングなどへの応用が期待されている。

なにがすごいのか?

  • スマホカメラで撮影するだけで健康指標を計測可能
  • 医療機器レベルの高い精度
  • 専用のウェアラブルデバイスなどが不要

なぜ生まれたのか?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行によって、学校休校や外出禁止、営業自粛、在宅勤務といった体制が広まっている。これに伴いオンライン教育やフードデリバリー、リモートワーク・ツール、オンラインゲームなどの需要がますます高まっているが、ここで大きな役割を果たすものとして諸国スタートアップの取り組みが注目されている。たとえば、欧州委員会やイスラエル政府は、COVID-19対策におけるスタートアップの役割の大きさを認識し、その活動を支援している。

COVID-19対策の中でもオンライン診療を支える遠隔モニタリングは需要の高い技術の一つである。この需要を受けて2016年に設立されたフェイスモニタリングやAI技術に強みを持つイスラエルのスタートアップBinah.ai社は映像から健康状態が分かるような仕組みさえあれば、オンライン診療の普及を加速できると考え、本知財を開発するに至った。

参考:従来の計測機器と違って、ユーザーは何かを装着する必要もなければ、その場にいる必要もない。

なぜできるのか?

独自のアルゴリズムによる健康指標の計測

頬上部の肌の状態に関する10秒~2分の映像データに対して、信号処理技術・AI技術を融合した独自の数学的手法を適用することより、心拍数、心拍変動(HRV)、血中酸素濃度、血圧、メンタルストレスレベルといった健康指標を計測する。具体的には、リアルタイム映像データのrPPG(*1)解析によるバイタルサイン測定、Baevsky’s and US/Europe Index level measurementsによるストレスレベル測定を行う。

(*1)rPPG(Remote Photo-plethysmography): 心拍で血管内の血液の体積及び酸素飽和度が変動することで引き起こされる皮膚表皮下の色の小さな変化を測定する非侵襲的技術。

上記の技術に合わせて、顔認識、トラッキング、モーション補正、光量正規化、測定範囲補足といった処理を加えることで、年齢・人種・性別を問わない計測を実現。

相性のいい分野

スポーツ
マラソン大会などで体調の優れない選手をピックアップし熱中症や横紋筋融解症などのスポーツ関連疾患を予防
ロボット
言葉で体調不良を訴えられないケース(幼児、障害、介護)でも、表情の変化を見て、メンタルケアを提供したり、急性心筋梗塞を早期発見したりできる「binah eye」搭載アンドロイド
ヘルスケア
リモートワークツールと組み合わせることで、社員のフィジカル・メンタルの遠隔モニタリング
ヘルスケア
COVID-19疑いで自宅隔離中の人でも体調に不安を感じた時には気軽に在宅診療を受けられ、医師もオンラインでトリアージを行うことが可能(医療機関の混雑緩和)
アウトドア
血中酸素濃度の即時モニタリングで登山家の体調管理サポート
交通
運転席に設置することでドライバーのウェルネスを経時測定し交通事故防止

知財情報

主な知財ホルダー:binah.ai LTD.

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

出村 光世 Mitsuyo Demura
Producer / Konel Inc.

1985年石川県金沢市生まれ。早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。アート/プロダクト/マーケティングなど領域に縛られずにさまざまなプロジェクトを推進。プロトタイピングに特化した「日本橋地下実験場」を拠点に制作活動を行い、国内外のエキシビションにて作品を発表している。自然現象とバイオテクノロジーに高い関心がある。


知財ライティング: 小髙 充弘